[要旨]
自分の改善点を見つけることは、自分の弱点を見つけることでもありますが、それを避けることは、自分が傷つかないようにするための積極的な行動とも言えます。しかし、自分の弱点を見つけることは、長い目で見れば、成功に近づくためのプロセスであり、成功することに積極的になると考えることで、改善活動に前向きに取り組むきっかけになると思われます。
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作家の本田健さんが、ご自身が配信しているのPodcast番組で、「ネガティブな考え方を変えるにはどうしたらよいか」という、リスナーからの質問に回答していました。すなわち、本田さんは、ポジティブな考え方で行動している人は、成功しているように見えるけれど、その反面、(これには本田さん自身も含まれますが)失敗もたくさんしていて、その度に傷ついている。
一方、ネガティブな考え方で行動している人は、あまり成功していないように見えるが、同時に、あまり行動もしていないので、失敗することも少なく、したがって、傷つくことも少ない。そこで、ネガティブな考え方をしている人は、めぼしい成功もしていないけれども、決して損をしているのではなく、あまり傷つかずにすんでもいるという点に着目するとよいと、回答しておられました。
この本田さんの回答を聴いて、私は、自分が、顧問先の事業改善のお手伝いをしているときのことを思い出しました。というのは、例えば、PDCAが長続きしない会社経営者の特徴として、「振り返り」ができないという点が挙げられるということです。「振り返り」とは、1か月の活動、1か年の活動を振り返ってみて、自分の改善点を見つけることです。
この、自分の改善点を見つけることができれば、その分だけ、事業がさらによくなる方法を見つけることにもなるということです。でも、PDCAを実践している経営者の方の中には、振り返りとは、自分自身へのダメ出しのことだと感じてしまう人もいるようであり、そのような方は、無意識のうちに振り返りを避けてしまうようです。すなわち、振り返りを避けている人は、振り返りに消極的なのではなく、自己批判を積極的に避けているとも言えるでしょう。
でも、これも当然ですが、改善点を見つけることが苦痛であり、それを避けようとして現状を維持していれば、ビジネスパーソンとして成功もしないということも事実でしょう。したがって、行動することに積極的か、消極的かではなく、行動することに積極的なのか、傷つかないことに積極的なのかと考えれば、「自分は消極的だ」と考えている方や、「振り返りは苦痛だ」と考えている方は、行動を変える手がかりを見つけることができるのではないかということを、本田さんのお話を聴いて感じました。