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米国のマクドナルドは、自社へのネガティブな都市伝説を、機転を利かせて対応した結果、自社の話題作りに成功したが、日本の会社は、一般の人たちとのコミュニケーションが不得手な例が多いので、同社の例を参考に、改善することが望まれます。
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経営コンサルタントの鈴木貴博さんが、ダイヤモンドオンラインに、米国のマクドナルドの都市伝説に対する対応が書かれていました。要旨は、米国のある女性が、24年前にマクドナルドで購入し、紙袋に入れたままにしてあったポテトとクォーターパウンダーを見つけたが、袋から取り出すと、どちらも腐っておらず、それを撮影した動画をSNSに投稿した。
その結果、「マクドナルドのハンバーガーが腐らないのは、何かでコーティングされているからではないか」といった都市伝説が拡散した。それに対してマクドナルドは、自社のホームページに、「適切な環境下であれば、私たちのバーガーは他の多くの食べ物と同じで、腐ることがあります」と、公式回答を載せた。これは、あえてツッコミやすい回答にしているのであり、その結果、SNSで、「マクドナルドのバーガーは腐るんだ!」、「適切な環境下って何?」、「あれは不適切な環境下の話なのか?」などというコメントとともに拡散した、というものです。
このように、同社は、自社にネガティブな評判を逆手にとって、上手に自社の話題作りをしており、この点を鈴木さんは評価しておられます。これも会社のコミュニケーション能力のひとつだと思います。こういった対応は、日本の会社はあまり上手ではないと、私は考えています。
日本の場合、会社(というか、組織)は、予測できないことが起きるかもしれないという恐れを強く感じるようで、多くのことを秘匿しようとする性質があります。よく、会社の記者会見などで、「個別のことについては回答できない」とか、「総合的に判断した」というような回答をしているところを見るときがありますが、そのような例は、日本の会社の悪い面が現れていると、私は感じます。
確かに、批判を避けるには、多くのことを知らせない方がよいのですが、逆に、情報を隠そうとする姿勢は、「誠実さに欠ける」とか、「前向きに問題に向き合おうとしていない」というような、悪い印象を与えてしまいます。そうであれば、100%完璧な回答ができなくても、可能な限り、分かっていることを公表することの方が、よい結果をもたらすと思います。
よく、ソフトバンクグループの孫会長が、Twitterで自社の情報を投稿していますが、そのような積極的な情報開示をする会社の方が、情報をなかなか公表しない会社よりも、よい印象を持ってもらえると思います。とはいえ、すべての組織が、直ちに孫さんのようなことができるようにはならないと思いますが、前述の米国のマクドナルドの対応は、日本の会社の広報の改善のための参考になると、私も感じました。