鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ブランド効果

今回は、ブランドについて述べます。


ブランドは、多くの人が知っていますが、

それでは、具体的にはどういうものかとい

うことはなかなか説明できないものだと思

います。

 

ブランドと言えば、多くの方は「ブランド

品」などのブランドを思い浮かべるでしょ

う。


より具体的には、製品や製造者を区別する

ための名称、シンボル、デザインを指すも

のとして認識されていると思います。


このような理解の仕方は誤っている訳では

ありません。


しかし、事業を運営するにあたっては、ブ

ランドはもう少し広いものとして考える必

要があると思います。


米国のブランド研究者であるナップは、ブ

ランドを「顧客や生活者に認識された情緒

的・機能的ベネフィットがもたらす印象の

蓄積が、こころの眼の中でとんがった位置

づけを占めること」と定義しています。


この定義はやや抽象的であるため、簡単な

ものに言い換えると、「顧客が、ある製品

を優位なものとして記憶する手段」と言え

るでしょう。


要は、ブランドがついている製品は、その

ブランドを支持する人から、その製品を深

く調べることなく購入するということであ

り、購入する側からみても、購買行動が楽

になるということです。


ですから、ブランドを持っている会社は、

自社製品の販売が容易になったり、価格以

外の競争力が高まる、すなわち、高額でも

製品が購入されるようになります。


ただ、当然のことながら、一朝一夕にはそ

のようなブランドを作ることは難しく、ま

た、強いブランドを作るには多くの労力を

要します。


それでも、ブランドを作ることは、多くの

製品を販売するための方法としての効果が

大きいことから、多くの会社はブランドを

作ろうとしています。


ところで、中小企業白書平成17年版によ

ると、ブランド(ここでは、「自社が扱う

商品名、店舗名の標章や自社名そのものの

標章」と定義しています)を持っている中

小企業は、従業員数20人以下の会社では

約39%が、従業員数301人以上の会社

では約76%が持っているという調査が示

されています。


(ご参考→ https://goo.gl/Q3pHHs


意外と多くの会社がブランドを持っている

訳ですが、同白書では、「『知名度が増し

た』が64.5%と割合は高いが、具体的

成果としては『価格競争から回避できた』

が22.2%、『ブランドの有無に関わら

ず、自社商品の売上が増した』が21.7

%と低く、ブランド効果として経営パフォ

ーマンスの向上につながっているのは、お

おむね2~3割程度である」と、売上に寄

与しているブランドは少ない実態が示され

ています。


その一方で、同白書では、ブランドを活用

している会社の事例が紹介されています。


その会社は、社名は伏せられていますが、

新潟県ベルモントと思われます。


( http://belmont.co.jp/ )


同社は「社名ブランドを冠した同社の製品

は、同業他社の製品に比べて明らかに高価

格であり、販売店もホームセンターのよう

な大衆向けの店ではなく、社長自らが選定

した販売店、あるいは直営店に限定してい

る。


ブランドの価値を維持するためには、拡販

のために安易な流通ルートを使うのではな

く、選択的に流通ルートを構築することが

重要だと考えた」結果、流通ルートを限定

することで、他者との差別化を図り、価格

を維持することに成功しているようです。


これは、いわゆる、ランチェスターの法則

の第1法則に基づく、弱者の戦略によるも

のです。


今回の記事の結論は、中小企業がブランド

戦略を採ることは効果があり、それは、単

に標章を作るだけに留まらず、標的を定め

た販売を行うことが必要であるということ

です。


現在は、製品は品質が良くて、かつ、安く

てあたりまえという状況にあるので、この

ブランド戦略で現状を打開するということ

は有効であると私は考えています。

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20171212075302j:plain