鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

悪い情報を伝えると融資承認が得られる

[要旨]

銀行から円滑に融資を受けることができる会社は、毎月、銀行に自社の業況の報告を行ない、自社の悪い情報も伝えることができている会社です。それは、銀行との強い関係を作った結果と言えます。したがって、自社がピンチになっても、その改善のために必要な融資を受けることができるようになります。


[本文]

今回も、前回に引き続き、税理士の児玉尚彦さんのご著書、「会社のお金はどこへ消えた?-“キャッシュバランス・フロー”でお金を呼び込む59の鉄則」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。児玉さんは、銀行から融資の承認を得られるようにするには、自社のネガティブな情報を伝えることが望ましいと述べておられます。

「これは銀行出身の経理部長に教えてもらったことですが、銀行に対しては、よい情報だけではなく、悪い情報もすべて報告した方が、銀行によい印象を与えて、融資が通りやすくなるそうです。“貸し渋り”に遭っているような会社は、借りたい時だけ銀行に行って、悪い情報を隠して、よい情報しか提供しないので、信用されません。

それに対して、銀行から信用を得ている会社は、毎月、銀行へ行って、悪い情報もすべて積極的に伝えます。そして、改善策をすでに打っていることを説明しながら、その改善対策用の資金も加えて、さらに資金協力の依頼につなげていくとのことです。こういったところが、場当たり的に経営している会社と、長期的な展望でお金の安定を図っている会社との大きな違いになっていくのです」(169ページ)

児玉さんの直接的な言い回しは、銀行に悪い情報を伝えると融資の承認を得られるというものですが、もっと大切なことは、銀行に悪い情報を伝えることができる関係を持つということだと思います。というのも、困ったときだけ銀行に融資を申し込みに行く会社と銀行の関係は、あまり強くないことから、自社のネガティブな情報は伝えにくい状態にあるといえます。

でも、毎月、銀行に自社の状況を報告している会社は、自社のネガティブな情報を伝えても大丈夫な、強い関係があるといえるでしょう。ただ、このような児玉さんの助言は、多くの経営者の方が理解されると思いますが、やはり、それができる会社と、そうでない会社の違いというのは、「場当たり的に経営している会社と、長期的な展望でお金の安定を図っている会社」の違いということなのでしょう。そして、そのような姿勢は、銀行との関係づくりだけにあてはまるものではないと、私は考えています。

2022/12/25 No.2202