[要旨]
税理士の大久保圭太さんによれば、顧問税理士が財務面での助言をしてくれないという不満を感じる経営者もいるが、税理士の本来の業務は財務面の助言をすることではないので、税理士から財務面での助言を欲しいときは、税理士と財務顧問としての契約を行って財務面での助言を受けるか、または、別途、財務コンサルタントに顧問を依頼するとよいということです。
[本文]
税理士の大久保圭太さんのポッドキャスト番組を聴きました。番組では、製造業の経営者であるリスナーの方から、「知人の経営者の顧問税理は、補助金や融資に関する情報を提供してもらえるときいているが、当社の顧問税理士は、機械を購入したときに何も情報を提供してくれないが、もっと情報をもらえるように、顧問税理士との関係を強化するにはどうすればよいのか」という質問に、大久保さんが回答していました。
これに対して、大久保さんは、まず、税理士は顧問先に代わって税務申告を行うことが本業であり、補助金や融資に関する情報を提供することは税理士の業務ではない。とはいえ、税理士の中にも、補助金や融資に関して詳しい人もいるので、そのような税理士を探して顧問になってもらうとよいが、その場合、税務顧問とは別に財務顧問に関する顧問料を支払うことになる。または、補助金や融資に詳しいコンサルタントを顧問にする方法もあるとご回答されておられました。
私も大久保さんと同意見ですが、このような悩みを持っている経営者の方は少なくないと感じています。その理由は、経営者の多くは、税理士=財務顧問と考えてしまっているからではないかと思います。しかし、前述したように、財務に関する情報提供、すなわち、財務顧問の役割は、税理士の本来の業務ではありません。とはいえ、税理士の中には、税務顧問と財務顧問の両方の業務を受けている方もたくさんいます。(逆に、税務顧問以外の業務は受けないという方もいます)
しかし、経営者の方が顧問税理士を選ぶときは、恐らく、顧問料が大きな要因となっているので、顧問料が安い税理士を顧問にすると、税理士業務以外のことは引き受けてもらえないということになります。ここで、たびたび繰り返しになりますが、財務顧問もできる税理士の方でも、顧問料が低い契約の場合、税務顧問しか行わないということもありますので、顧問料が低い税理士は、必ずしも、財務顧問ができないということではないということに注意が必要です。
ここで私がお伝えしたいことは、中小企業では、税理士への顧問料の低さを優先させず、できるだけ相応の顧問料を支払い、財務顧問も引き受けることが望ましいということです。このような管理業務に関する費用については、効果が目に見えにくいのですが、多くの場合、財務面での助言を受けることは、顧問料以上の効果があると、私は考えています。
というのは、私は、かつて銀行に勤務していて、多くの融資相手の会社の財務諸表を見てきましたが、税理士が単に税務申告にしか関わっていない会社と、財務面で助言してきちんとした決算書をつくっている会社の違いがはっきりわかりました。そして、当然、後者の会社の方が銀行からの信用度が高くなりますし、そのような会社は経営者が事業の改善に真摯に取り組んでいるという姿勢が銀行にも伝わります。
ただ、税理士が財務顧問になると、財務面での課題に関する助言も行うため、経営者としては取り汲むべき課題が増えるので、「税理士は決算書作成と税金の申告だけしてくれていればいい」と考えてしまうことがあるかもしれません。しかし、それは、税理士の方が負担を増やしているのではなく、財務の専門家でしか見えない課題を見えるようにしてくれているのであって、課題が増えたということではありません。存在する課題をたくさん解決することによって会社の業績も向上してくわけですから、積極的に財務面の助言を受けることが望ましいと私は考えています。
2025/12/10 No.3283
