鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ホームランではなくバント

リッツカールトンホテル日本支社の元支社

長の高野登さんの「リッツカールトンでは

ホームランバッターをつくらない」という

インタビュー記事を読みました。


(ご参考→ https://goo.gl/zueeTU


この記事で、高野さんは、「リッツ・カー

ルトンは決してホームランバッターをつく

ろうとはしません。


バントでコツコツかせぐ選手と組織をつ

くっているだけなんです」とお話しされて

おられました。


それを伝えるエピソードとして、ある男性

客から、女性に求婚をするために、席を用

意してほしいと頼まれた男性スタッフが、

いすはもちろんのこと、純白のテーブルク

ロスを敷いたテーブルに、シャンパンを置

いて花びらを散らし、タキシード姿に着替

えてほほ笑みながら、2人の到着を待って

いたというものがあるそうです。


この演出によって、求婚をした男性客も、

相手の女性も、劇的に感動したそうです。


一見すると、この男性スタッフは有能なス

タッフに見えますが、実は、そのスタッフ

は、まず宴会係に頼んでその日のパーティ

で使い終わった花をもらい、次にレストラ

ンに行ってワイン業者の方が試飲用に置い

ていったシャンパンを1本わけてもらい、

最後にバンケットキャプテンからタキシー

ドを借りて戻ってきたそうです。


こうして、複数のスタッフの協力によっ

て、お金をかけずにできあがった演出だっ

たそうです。


これについて高野さんは、「みんながコツ

コツとバントを打った結果、点数が入った

のです。


大切なのは、このバントを途切れずに打ち

続けることです。


先ほどの例で言えば、もし宴会係が花をく

れなかったら、もしレストランがシャンパ

ンを分けてくれなければ、もしキャプテン

がタキシードを貸してくれなければ、どこ

かが途切れていても、点数は入りませんで

した」とお話しされておられます。


このエピソードからはいろいろな教訓が得

られると思いますが、私は、次の2つにつ

いて注目しました。


ひとつは、顧客を感動させるには優秀なス

タッフ(ホームランバッター)が必ずしも

必要ではないということです。


高野さんが、「みんながコツコツとバント

を打った結果、点数が入る」とお話しされ

ておられるように、バントをつなげば成果

が得られるので、例えば「自社の業績が悪

いのは、優秀な人材がいないから」という

ことは理由にはならないということです。


とはいえ、バントを打てる人を揃えるだけ

では、必ずしも成果が得られません。


リーダー(社長)の何らかの関与が必要に

なります。


具体的にどういう関与が必要なのかは割愛

しますが、チームワークの大切さを伝えた

り、それらを発揮できる環境を整えたりす

ることが求められます。


それがリーダーシップであり、バントで成

果を得る、すなわち、組織的な力を発揮で

きるようにする能力が経営者としての能力

であり、それが事業の成果につながるもの

と私は考えています。


これが、私の注目した教訓の2つめなので

すが、なぜ、会社は組織的な活動が行われ

るのかということを考えてみれば、チーム

プレーで成果を出すためであり、個人の力

が弱いから組織としての成果が出ないと考

えるのであれば、組織的な活動は不要で

す。


組織としてプレーをする以上、バントをつ

なぐための指揮を執る人が必要であり、そ

れが経営者です。


繰り返しになりますが、その指揮を執る人

の能力こそが事業の成果につながると私は

考えています。

 

 

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