鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

オーセンティック・リーダーシップ

[要旨]

誰かの真似ではなく、自分自身の価値観や信念に根ざしたリーダーシップである、オーセンティック・リーダーシップが注目されています。なぜなら、『自分らしさ』を大切にしながら、いろいろなリーダーシップを使い分ければ、そういう態度が人々から共感を得られ、よい成果につながるからです。


[本文]

今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの岩田松雄さんのご著書、「共感型リーダー-まわりが自然と動く、何歳からでも身につく思考法」を読んで、私が気づいたことについて説明したいと思います。前回は、危機的状況や組織変革の時は、リーダーは、強いリーダーシップを発揮することが必要ですが、変革が進み、組織が自走し始めたら、強いトップダウンから、支援やコーチング的なリーダーシップスタイルに変えていくことも必要であり、このようなリーダーシップをサーバント・リーダーシップというということについて説明しました。

これに続いて、岩田さんは、オーセンティック・リーダーシップについて述べておられます。「最近、注目されているのが、オーセンティック・リーダーシップです。誰かの真似ではなく、自分自身の価値観や信念に根ざしたリーダーシップです。そのためには、自己認識(セルフ・アウェアネス)たとても重要となります。私は、『自分らしさ』を大切にしながら、いろいろなリーダーシップを使い分ければ良いと思っています。

そういう態度が人々から共感を得られるのです。私がスターバックスの社長になって数か月ぐらいして、日本の創業者の角田雄二さんに呼ばれて、『岩田さん、一歩下がって、他の役員の意見もよく聞いてあげてください』と注意を受けました。私自身、そんなに強いリーダーシップを発揮していたとは思っていませんでしたが、他の役員からは、そう見えていたのでしょう。

その2週間後、シアトルの本社にビジネスプランの説明に行った時、創業者のハワード・シュルツに呼ばれて、『マツオ、一歩前に出て、みんなを引っ張ってくれ』と言われました。多分、アメリカから日本に来ている役員が、ハワードにそう言ったのでしょう。私は困惑してしまいました。裕二さんはいつもニコニコして腰が低く、皆を手の上でうまく回していくようなリーダーでした。ハワードは、とてもカリスマ性の強いトップダウンのリーダーです。それまで自分の中では、新米社長でのいろいろな遠慮もあり、手探りの状態でありました。

私は、その時に、自分は雄二さんにもハワードにもなれない。自分らしいやり方でやって行こうと腹を括りました。そこからワンモアコーヒーなどの施策がヒットし、V字回復していくことになりました。まさしく、これは、今、流行しつつある『オーセンティック・リーダーシップ』を目指すということです。人真似ではない自分らしいリーダーシップを発揮すれば良いのです。ですから、ある時は、『自分らしいシチュエーショナル(条件適合)・リーダーシップ』を、別の時には、『自分らしいサーバント・リーダーシップ』を発揮すれば良いのです」(112ページ)

岩田さんでさえ、どういうリーダーシップがよいのか迷うくらい、あるべきリーダーシップを論ずることは難しいと、私も考えています。その最大の要因は、リーダーシップは理論的ではなく、人間的側面が大きいということだと思います。例えば、同じ指示を出したとしても、誰がそれを出したかによって結果が異なるということもあるくらい、リーダーシップには人間的な要素が大きいと思います。だからこそ、自分らしいリーダーシップである、オーセンティック・リーダーシップが重要なのだと思います。

2024/4/14 No.2678