銀行からみて、融資先の中小企業に
後継者がいるかどうかということは、
融資の方針に一定程度の影響があり
ます。
なぜなら、中小企業の場合、事業の
業績は経営者の能力に大きく左右
されており、実際に、経営者が病気
などで急死してしまい、その後、
会社の業績が悪化して倒産に至った
という例はたくさん起きています。
そういう面から、リスク管理として、
中小企業も後継者を育成し、また、
将来はその人に経営を引き継ぐ予定で
あるということを、社内にだけでなく
社外に向けても明確にしておくことは
大切だと思います。
しかし、経営者の方の中には、自分が
急死してしまうということを想定しない
ばかりか、自分以外の人に経営を譲ると
いうことはまったく念頭になく、さらに
後継者を育成すれば、自分が会社から
追い出される可能性を高めることに
なると考える方もいるようです。
これは、冷静に考えれば、ほとのどの
人が、後継者を育成して円滑に経営を
委譲することが望ましいとは理解でき
ても、実際には、会社への思い入れ
などから、自分以外の人が経営者に
就くことを前提とした対策をとること
さえもできないという人も少なくないと
思います。
このようなこと、すなわち、お家騒動は
中小企業だけでなく、時折、上場会社
でも起きているので、実際には、とても
難しい問題だと私も思っています。
そのため、銀行としては、そのような
機微な情報を、めったなことでは、
経営者にたずねることはしません。
その一方で、前述のように、銀行は
融資先の会社に後継者がいるかどうか
ということには大きな関心を持って
いるので、後継者が明確になって
いない会社には、後継者になりそうな
人がいるかどうかということを注視
しています。
ただ、仮に、後継者としてめぼしい
人がいても、経営者が経営の引継ぎに
関心がなさそうであれば、もし、
現在の経営者に万一のことがあった
ときは、混乱が起きるであろうと
考えるでしょう。
繰り返しますが、後継者については
機微なことがらですが、後継者を
明確にし、そのための準備を進める
ことは会社のリスクを減らすことに
なり、かつ、銀行からの評価も高める
ことになりますので、まだ、明確に
していない会社は、それを明確にする
ことをお薦めします。