鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

頭と尻尾はくれてやる

[要旨]

電子メールは、1つひとつの文章が正しければ、電子メール全体もよくなるとは限りません。したがって、ひとつの文章の正しさだけを追求するよりも、電子メール全体の仕上がりを重視することが大切です。このような考え方は、事業経営にも共通する考え方です。


[本文]

マーケティングコンサルタントの平野朗さんのメールマガジンを読みました。要旨は、平野さんに対して、一文にいくつ読点を打つべきですか、メールで改行するときに読点は必要か、質問をメールに書くときは、「?」はつけた方がいいかといった、「文章の正解」を質問されることがある。しかし、正解がないということもある、時代や状況によって正解が変わるのに、正解を求めることは、それほど重要ではない。

重要なことは、その文章を読んで、読み手がどう感じるかだ、というものです。この例で、「文章の正解」を求める人は、「木を見て森を見ない」人、部分最適にとらわれすぎて全体最適を考えない人、と言うことができるでしょう。そして、私は、平野さんの‐メールマガジンを読んで、「頭と尻尾はくれてやる」という格言を思い出しました。

この格言は、証券投資をしている人たちの間で使われているようであり、大和証券のWebpageに解説がありました。「お魚は頭と尻尾を除いた真ん中のところが、脂がのって一番おいしい。株式投資は最安値で買って最高値で売るのが理想ですがまず無理な話です。不可能なことにエネルギーを注ぐより、一番おいしいところだけ確実に儲けようという教えです」

多くの人が理解しているようで、意外と理解していないことは、個々の最適を積み重ねることが、必ずしも全体を最適にすることではないということです。前述の電子メールの例で言えば、ひとつひとつの文章を正しく書いていけば、電子メール全体がよいものになるかと言えばそういうことではありません。個々の文章を注意深く書いていき、最後に全体をみて相手にきちんと書き手の意図が伝わるのかをみなければなりません。

そのためには、個々の文章では正しいものを修正する必要があるかもしれませんし、また、個々の文章の正しさを追求するあまり、労力や時間をかけすぎて、タイムリーに相手に電子メールを届けることができなくなるかもしれません。すなわち、「魚の脂がのっていておいしい部位」を食べるには、「頭」と「尻尾」を切る必要があるわけです。そして、こういった「頭と尻尾をくれてやる」という観点は、事業経営に共通するものだと、私は考えています。

2021/11/6 No.1788

f:id:rokkakuakio:20211106043647j:plain