先日の夕方、大学から帰宅する長女を最寄
り駅に迎えに行く途中、現金をATMから
引き出すために、コンビニエンスストアに
立ち寄りました。
そうしたら、たまたま、近所の木工業を営
んでいる会社のN社長にお会いしました。
Nさんは、その日、従業員の方に残業をし
てもらうことになったので、差し入れとし
てコンビニエンスストアのコーヒーを買う
ために来店したそうです。
コンビニエンスストアのコーヒーは、セル
フサービスなので、Nさんが自ら6人分の
カップにコーヒーを注ぎ、それをトレイに
乗せて、店を出ていきました。
Nさんのコーヒーを注いでいるときの表情
を見ると、部下に残業をさせるのは申し訳
ないという気持ちもあったのかもしれませ
んが、同時に、遅くまで働いてくれる部下
がいることを頼もしいと感じているように
も思えました。
いずれにしても、Nさんの会社は、決して
楽な経営をしているとは思いませんが、か
といって、Nさんがわざわざコーヒーを買
いに来るほど弱い立場にはないと思うの
で、やはり、Nさん自身が部下をねぎらい
たいという気持ちから、自らコーヒーを買
い来たのだと思います。
近所のNさんとは以前からお付き合いがあ
り、人柄もとてもよいことを知ってはいま
したが、自ら部下にコーヒーを差し入れし
ようとしている様子を見て、Nさんの会社
はこれから間違いなく業績がよくなってい
くと、あらためて感じました。
ここまでは、経営者の人柄がよいと、業績
もよくなるということを書いただけなので
すが、そうはいっても、現実には、経営者
の人柄だけで業績がよくなるとは限らない
ということも経験的に感じています。
私が銀行で働いていたときに、取引先を業
績と経営者の人柄で分類すると、おおよそ
次の通りだと感じました。
(1)業績〇・人柄×→約20%
(2)業績×・人柄×→約40%
(3)業績×・人柄〇→約30%
(4)業績〇・人柄〇→約10%
業績が良くて人柄もよいという会社は約
10%しかないと私は感じていたので、先
ほどの記述と矛盾します。
でも、これからは、経営者の人柄は、ます
ます業績に大きく影響してくると思ってい
ます。
むしろ、いままでは「とにかくもうけたも
のが勝ち」という考え方が通用する部分が
あったものの、それは通用しなくなって行
くと考えています。
その根拠は2つあります。
そのひとつは、事業運営の巧緻よりも組織
経営の巧緻の方が、業績に与える影響の比
重が高まってきているということです。
人柄の良さと組織運営の巧緻は、必ずしも
一致しませんが、少なくとも、人柄が悪い
けれど組織運営は上手ということにはなり
にくいでしょう。
ふたつめは、従業員の方の能力の業績に与
える影響の比重も高くなってきているとい
うことです。
これは、従業員満足度が業績に影響すると
いうことです。
単に、従業員の方は言われたとおりに働い
ていればいいという考え方は、20世紀の
考え方です。
21世紀で勝てる会社は、従業員の方が生
き生きと能動的に働いている会社です。
そういう観点から、経営者のリーダーシッ
プが従業員満足度を高める重要な要素であ
り、これも経営者の人柄の良さが大きく関
連するでしょう。
ここまで理屈っぽく書きましたが、かつて
のように、権威を振りかざすだけのような
経営者は、これからはじょうずに会社を経
営できなくなるということが、今回の結論
です。
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