鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ブルウィップ効果

先日、エフエム福岡で配信しているポッド

キャスト番組で、ブルウィップ効果につい

て説明していました。


(ご参考→ https://goo.gl/ba2zRa )


ブルウィップ効果(Bullwhip Effect)の

'Bull'とは牛、'Whip'とは鞭のことです。


そして、ブルウィップとは、牛に向けて鞭

を打ったときに、手もとでは鞭のしなりが

小さいものの、先端に行くとそのしなりが

大きくなっていく様子を示しています。


これを、サプライチェーンにおいて、川下

の発注量が川上に向かっていくにつれて増

えていく現象に例えて説明されるものが、

ブルウィップ効果です。


ちなみに、「サプライチェーンは、直訳す

ると供給の連鎖ということで、原材料や部

品の生産や仕入れ、製品の生産、市場での

販売まで含めた物作りの上流から下流に至

る流れ全体を意味します。」(同前)


このサプライチェーンでブルウィップ効果

が起きてしまう理由は、小売店から卸売会

社、卸売会社から製造会社、製造会社から

原材料会社へ発注するときに、少しずつ多

めに発注してしまうからです。


そこで、それぞれの会社の垣根を越えて、

ものの流れを効率化しようとするしくみで

あるサプライチェーンマネジメント(SM

C)が、多くのサプライチェーンで採り入

れられるようになりました。


むしろ、ブルウィップ効果をなくすことが

SMCの目的とも言えるでしょう。


ところで、前述の番組では、ブルウィップ

効果の悪影響を減らす方法として、次のよ

うな対策を挙げています。


(1)POSシステムやVMI(供給者に

よる在庫管理)、かんばん方式などによる

迅速な情報の共有。


(2)納品のリードタイムの短縮と発注サ

イクルの縮小、発注ロットサイズの縮小。


(3)価格安定化による販売量の安定化。


ここまでの内容については、私もまったく

その通りだと思っているのですが、もっと

根本的なことは、「それぞれの会社の垣根

を越えて、ものの流れを効率化しようとす

るしくみ」であることです。


言い換えれば、製品の供給に携わっている

複数の会社を、ひとつの会社による活動の

ように束ねることで、前述のような施策が

できます。


そして、もうひとつのポイントは、単に、

複数の会社を束ねるだけではなく、どのよ

うに束ねるのかということもポイントにな

ります。


というのは、SCMによってサプライチェ

ーンは効率化されますが、どう効率化する

かということによって結果も異なります。


例えば、どの程度まで欠品を防ぐかという

こともSCMの管理の対象です。


欠品を0にすることを目指すこともできま

すが、それを目指すことによってコストは

高くり、SCMの狙いが果たせなくなりま

す。


かといって、コストを下げようとして、そ

の結果、欠品が多くなってしまうと、今度

は、顧客の不満が強くなり、これもSCM

の狙いが果たせなくなります。


したがって、どこでつりあいをとるかとい

うことも、SCMの成否のポイントになり

ます。


すなわち、SCMの管理の巧緻が、ライバ

ルに差をつけることになります。


今回の結論は、複数の会社もまとまってひ

とつの目的に向かうことで、よい成果につ

ながること、そして、そのまとまり方も勝

敗の要因になるということです。


すなわち、ライバルに勝つ要因は、マネジ

メントが鍵になっているということです。

 

 

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