鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

情報には価値がある

[要旨]

岩田松雄さんは、、かつて、日産に勤務していたとき、困ったことがあると、メインバンクの営業マンに専門家を紹介してもらっていました。このような、社内での情報が共有が進んでいる会社は、顧客から評価され、競争力が高まります。


[本文]

今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの岩田松雄さんのご著書、「今までの経営書には書いていない新しい経営の教科書」を読んで、私が気づいたことについて説明したいと思います。前回は、会社の人員や資金面に余剰を持たせず、敢えて厳しい状況に置くことで、斬新な工夫やアイディアが生まれ、事業の抜本的な改善が進むということについて説明しました。これに続いて、岩田さんは、社内のコミュニケーションの迅速さが、会社の評価が高めるということについて述べておられます。

「(岩田さんが日産に勤務していたとき)メインバンクの営業マンがとても素晴らしい。購買部門から財務に異動したときに、基本的なことでわからないことがあると、その営業マンに連絡をしました。すると、すぐに、その道の専門家を連れてきて、レクチャーをしてくれるのです。社内での情報の共有化が早く、全力でカスタマーサービスをしてくれるのです。一方、もう一つのメインバンクの営業マンは、こちらを見ているというよりは、銀行内部を見て営業している感じがしました。困ったときや、新規案件などの、いわゆる『ファーストコール』をどちらの銀行にするかは明白です。

一般的に、多くの会社は情報共有が進んでいません。『この話、昨日、担当者の方にしたのですが…』と言っても伝わっておらず、また一から説明しないといけないことが、よく起こります。これでは、お客様からの信頼が損なわれます。(中略)戦国時代、織田信長が、一番槍(戦いの口火を切ること)をつけた部下よりも、最初に情報を届けてくれた部下に褒美を多く与えたという話があります。それほど、情報には価値があることを、織田信長は分かっていたのです」(242ページ)

私は、かつて、銀行に勤務していて、「営業情報」を活用していました。例えば、新たに取引をしたい会社に対し、すでに銀行と取引のある会社を販売先として紹介し、その相手に利益をもたらすことで、銀行とも取引をしてもらうという戦術です。もともと、銀行は、多くの会社との取引があるので、このようなビジネスマッチングは、他の業種と比較して、優位に進めることができます。また、銀行が間に入ることで、知らない相手同士でも、比較的安心して取引を始めることができます。

このように、情報が会社の事業にとって利益をもたらすことが重要ということは、多くの方が理解できるのですが、やはり、そのような情報を活用した事業活動は、一朝一夕には実現できません。でも、現在は、経営環境が激化しているわけですので、このような情報を活用した事業活動を、多くの中小企業で実践していただきたいと思っております。そこで、その端緒として、まだ導入していない会社は、グループウェアの導入をお薦めします。もちろん、単に導入するだけで事業活動の競争力が高くなるわけではありませんが、グループウェアを活用できるようになれば、顧客だけでなく、従業員の方自身も、多くのメリットを感じることができるようになります。

2023/6/18 No.2377