鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

『負荷をかける』ことで工夫が生まれる

[要旨]

岩田松雄さんによれば、トヨタ生産方式は、在庫を減らして課題を顕在化させ、それを解決して事業を改善していくのと同様に、人員や資金面も余剰を持たせず、厳しい状況に置くことで、斬新な工夫やアイディアが生まれ、事業の抜本的な改善が進むと考えているそうです。


[本文]

今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの岩田松雄さんのご著書、「今までの経営書には書いていない新しい経営の教科書」を読んで、私が気づいたことについて説明したいと思います。前回は、トヨタは、あえて在庫量を少なくして、そこで顕在化した問題を解決することで、さらに効率化を高めるという経営哲学を持っているということについて説明しました。これに続いて、岩田さんは、従業員数についても、少なめにすることが望ましいということについて述べておられます。

「人が大勢いると、人が自分で仕事を作ってしまう。1人分の仕事を2人でやっていると、そのうち、その仕事は2人分の仕事になってしまい、人が減らせなくなるということです。いわゆる、『パーキンソンの法則』(公務員の数は、仕事の有無にかかわりなく、一定の割合で増加する)の通り、人は自然と増えてしまい、そのために、会議や連絡事項が多くなり、無駄な仕事がどんどん増えてしまうのです。また、お金の面でも、財布の中にお金が入っていると、ついついムダな買い物をしてしまう経験は、誰しもあると思います。

資金面でも、しっかり残高を確認できるような管理をして、必要以上に各部門に資金の余剰を持たせないで、しっかり経理や財務が管理できるようにしておかなくてはなりません。在庫にしろ、人員にしろ、資金にしろ、私は、『負荷をかける』ことが大事だと思っています。これまでよりも、厳しい状況に身を置く。そうするこによって、工夫やアイディアが生まれ、今まで顕在化しなかった問題も顕在化されてくるのです。安易に各部門に人を増やしたり、安全在庫や余裕式資金を多く持たせることは、避けなくてはなりません」(238ページ)

実は、私が会社員時代は、とても少ない人員で、多くの仕事をこなさなければならなかったので、感情的には岩田さんの言うような「負荷をかける」ことは、素直に受け入れることはできません。ただ、後になって考えてみると、その会社員時代の私の努力は、業績の改善には結びつかなかったのですが、私個人の忍耐力は強くなったと感じています。私は、人は、性悪説があてはまるのではなく、性弱説があてはまると考えていますが、やはり、誘惑に対して100%勝つことはなかなかできないので、「負荷がかかる」環境に身を置かないと、成長できないのだと思っています。

そして、それを、自分だけでなく、部下にも理解させるには、当然のことながら、経営者は自らを律しなければならないでしょう。岩田さんも言及していた、「パーキンソンの法則」はよく知られていますが、それに抗うためには、経営者が、口だけで命じるのではなく、経営者が率先垂範しなければならないということを、岩田さんのご指摘を読んで、改めて感じました。

2023/6/17 No.2376