[要旨]
平均日販が65万円のセブンイレブンは、ローソンやファミリーマートと比較して、約30%上回っていますが、これは、CX(顧客体験価値)の差であると考えられます。このCXとは、購買体験を通して得られる心理的価値、すなわち、「コト消費」のことです。
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セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問の鈴木敏文さんのご著書、「鈴木敏文のCX(顧客体験)入門」を読みました。同書によれば、2022年2月期で、セブンイレブンの平均日販は646,000円だそうです。これは、ローソンの498,0000円、ファミリーマートの511,000円と、140,000円~150,000円の差をつけています。また、コロナ禍の影響を受けた、2020年度は、どのコンビニも売上が減少しましたが、ローソンは49,000円減、ファミリーマートが35,000円減であるのに対し、セブンイレブンは、14,000円しか減らなかったそうです。
コンビニ大手でも、売上に差があることは知られていましたが、この要因について、鈴木さんは、セブンイレブンではCX(顧客体験)に注力しているからと述べておられます。このCXは、最近、耳にするようになって来ましたが、同書では、「カスタマー・エクスペリエンス(CX)とは、『商品やサービスの購入や使用における、顧客視点での体験』(顧客体験)、および、『体験を通して得られ得る、心理的・感情的な価値』(顧客体験価値)」と意味すると定義しています。
これは、かつてから言われていた、「コト消費」のことです。そもそも、コンビニエンスストアは、利便性というベネフィットがウリだったわけですが、現在は、利便性だけでは差別化が困難になり、CXでの競争になってきているということです。私は、ローソンやファミリーマートもCXでの差別化に注力していると思いますが、その価値の大きさが、業績の差になっていると考えることができます。では、セブンイレブンのCXにはどのようなものがあるのかということについては、次回、説明したいと思います。
2022/11/2 No.2149