鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

失敗の報告がないことは機能不全

[要旨]

仕事をしていれば失敗は避けられないことは明らかなので、失敗に関する報告がないとすれば、それは、会社が機能不全に陥っていることになります。経営者としては、失敗の報告を受け止めることはつらいことですが、それを避けていては、事業の改善が滞ります。


[本文]

ダイヤモンドオンラインに載っていた、弁護士の橋下徹さんへの、危機管理に関するインタビュー記事を読みました。橋下さんによれば、「(大阪府知事大阪市長時代に)トップとして組織に号令を出していたのは、『出すと不都合、不利な情報ほど、早く上げるように。不都合な事実、情報を出した後の批判に対する対応は僕がやる』というもの。これを繰り返し言い続けて実践してきた」そうです。

ところが、橋下さんも、「不都合な情報が出てきたときに、リーダーがオロオロ動揺したり、ましてや部下を怒鳴りつけたりするようでは、組織は悪い情報を出さなくる」と指摘していますが、「責任はすべて自分が取る」ということを実践することは、なかなか難しいようです。これについては、私は、実践できるかどうかは、その人の器量でしかないと思っています。即ち、理屈ではないので、これから組織のトップになろうとする方は、自分を磨くしかないでしょう。また、私が、最近、特に強く思うことは、人は必ず失敗するということを知らない人はいないでしょう。

ところが、どういうわけか、日本では、失敗したことがあるという過去の事実のみが、大きくネガティブに評価されてしまいがちのように思います。すなわち、人は失敗しているのに、報告しなければネガティブな評価はされず、逆に、報告すればネガティブな評価をされるという、望ましくない風潮があるのではないでしょうか?ですから、経営者の方は、失敗の報告が少ないと感じたら、情報がどこかで遮断されていると疑った方がいいでしょう。

このような経営者の方は少数派だと思いますが、失敗の報告がないから安心と考えているようでは、きちんとした経営はできないと思います。ちなみに、最近、また、内部通報に関する事件が明るみになりました。内部通報を妨げるような管理者がいる会社は、ますます、社会的信用を低下させ、業績にも悪影響を与えるでしょう。

f:id:rokkakuakio:20210729130557j:plain