鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

よいアイディアは経験の裏付けが必要

[要旨]

よいアイディアがあればビジネスは成功すると考える経営者の方は少なくないようですが、経営環境の変化の激しい時代だからこそ、経験に基づかないで生み出されるアイディアは、高い効果は期待できません。


[本文]

イーメディック社長の小島幹登さんが、Podcast番組で、ビジネスに関するアイディアについてお話しておられました。すなわち、小島さんにご相談をする会社経営者の方からは、小林さんのアイディアは画期的だと評価されるが、それは、ある程度の期間のビジネスの経験の裏付けがあるから、画期的で、再現性のあるアイディアとして説明できるが、起業家の中には、すぐに成功できるアイディアを、机上だけで考え出すことができると考えている人も少なくないというものです。

これについても、多くの方が理解されると思いますが、やはり、小島さんのご指摘しておられるように、机上だけで、よいアイディアを考え出そうとする人は、依然として多いようです。このような人は、早く成果を出したいと考えているという面があると思いますが、そのほかに、大切な観点が抜けていると思います。そのひとつは、経営環境の変化の激しい時代だからこそ、机上で考え出されたアイディアの効果は、ますます期待できなくなってきているということです。

事業の現場から得られる、きめ細かい情報は、より精緻な経営戦略を構築するための材料となり、さらに、そのような戦略は、効果がより長期間にわたって継続することが期待できるでしょう。そして、もうひとつは、より高度な戦略を実践するためには、組織そのものの習熟度を高めなければなりません。組織の習熟度が低ければ、実践できる経営戦略も限定されてしまいます。

このように考えれば、経営者が担わなければならないことは何かということも、明確になってくると思います。すなわち、事業経験を重ねて効果的な戦略を生み出せる能力を身に着けること、そして、組織の能力を高めることです。これらは一朝一夕には実現できないものなので、机上だけで考えようとしている時点で、その経営者の経営する会社の事業は、あまりよい方向には進展しないということは明らかです。

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