鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

個別法・先入先出法・最終仕入原価法

[要旨]

棚卸資産の代表的な評価方法には、個別法・先入先出法・最終仕入原価法などがありますが、それぞれ、業種に適した評価方法を適用することが望ましいと言えます。


[本文]

前回は、棚卸資産の評価方法について説明しましたが、今回は、その代表的な評価方法の、個別法・先入先出法・最終仕入原価法について説明します。まず、個別法は、棚卸資産をひとつずつ管理する方法です。この方法は、棚卸資産の評価額は厳密になりますが、一方で、管理が煩雑になるという短所があります。したがって、個別法は、建設会社や、宝飾店など、棚卸資産の単価が高く、販売数が少ない事業に向いています。

つぎに、先入先出方は、先に仕入れた棚卸資産から先に出庫したという前提で、棚卸資産の出し入れを記録し、それに基づいて在庫価額を測定します。なお、実際の棚卸資産も、先に仕入れたものから先に出庫することが一般的なので、先入先出法を適用している会社の帳簿と、実際の棚卸資産の価額は、ほぼ一致すると思われますが、帳簿と実際の棚卸資産は、必ずしも紐づけするわけではありません。

そのつぎに、最終仕入原価法は、会計年度の末日から最も近い時、すなわち、最終的に仕入れた棚卸資産の単位当たりの取得価額を、その期末の棚卸資産の単位あたりの評価額とする方法です。この評価方法は、最終的な仕入れ価額を利用するので、最も簡単な方法ですが、正確性には欠ける方法です。そのため、少額の商品や製品を短期間で売買する事業に向いている方法です。

ちなみに、最終仕入原価法は税法上の法定評価方法です。そのため、最終仕入原価法以外の方法により、棚卸資産を評価して法人税等を申告する場合、あらかじめその方法を税務署に届け出しておくことが必要です。したがって、建設会社や製造業など、最終仕入原価法がなじまない事業を営んでいる会社は、前もって、自社に妥当な方法を税務署に届けておくとよいでしょう。

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