鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

機会原価と赤字

これもすでに多くの方がご存知のことと思

いますが、管理会計の考え方に機会原価と

いうものがあります。


例えば、利益が200万円を見込める受注

があり、それを受けると100万円の費用

がかかるとしたときに、何らかの理由でそ

れを受注しなかった場合、受注に応じてい

れば得られたであろう100万円の利益を

損失と考え、受注に応じなかったことに

よって機会原価100万円が発生したと言

います。


とはいえ、この機会原価は、仮定での考え

方であり、仮に100万円の利益が得られ

る機会を失ったとしても、実際に費用が発

生する訳ではないので、機会原価が多い会

社であっても、なかなか批判されることは

ありません。


ただ、これは、私がコンサルタントという

部外者の立場であるから言えることかもし

れないのですが、事業の成果が赤字の会社

は、機会原価の考え方からみれば、本当に

もったいないと感じることがあります。


例えば、会計期間が1か年の会社の成果が

赤字であった場合、その会社が1年間に支

出した費用、時間などは、意味がないもの

ということになってしまいます。


もちろん、会社の評価は1年間だけで判断

すべきものではないのですが、会計の側面

だけで判断すれば、もったいないと思えて

なりません。


日本の会社の自己資本利益率(=会社の純

資産の部の額に占める利益額の割合)は、

約8%と言われていますが、純資産の部が

1,000万円の会社であれば、利益額は

80万円は期待されているとも言えます。


もし、会社が赤字であった場合、その赤字

額だけが損失ではなく、期待される利益額

も損失に加えなければならないでしょう。


そして、繰り返しになりますが、それだけ

でなく、1年間の経営者の方、従業員の方

の費やした時間や労力も報われないものと

なってしまいます。


もちろん、これは会計的な側面だけでの評

価なので、これだけをもって会社のすべて

を評価することは適切ではないのですが、

先日、ある税理士の方とお話をしたとき、

「顧問先の方には、会計を1番目の評価指

標にするよう指導している」というお話を

ききました。


その税理士の方によれば、日本では、経営

者の方は、会計での評価を後回しにしてし

まいがちであり、そのことが、事業の成果

が赤字になっても甘んじてしまうので、あ

えて会計を最も重視するように指導してい

るということでした。


赤字の会社の経営者の方も、もちろん自ら

望んで事業を赤字にしているわけではない

と思いますが、赤字が続けば事業を続けら

れなくなってしまうので、自社の収益につ

いて、もう少し会計に関して意識を高めて

もらえればと、前述の税理士の方と同様に

私も考えています。

 

 

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