鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

CCC

CCCとは、キャッシュ・コンバージョン

・サイクルの略語で、米国のアップル社が

この指標を使って資金管理をしているとい

うこともあり、近年、この指標を重要視す

る会社が増えてきているようです。


すでに多くの方がご存知と思いますが、こ

こで改めてCCCの計算方法について記し

ておきます。


CCC=売上債権回転日数+棚卸資産回転

日数-買入債務回転日数=売上債権÷売上

高×365+棚卸資産÷売上原価×365

-買入債務÷売上原価×365


初めて見る方には、少しわかりにくい指標

かもしれません。


そこで、これに似ている、経常運転資金の

計算式を見てみましょう。


経常運転資金=売掛金棚卸資産-買掛金


この式と、CCCの計算式の違いは、CC

Cのそれぞれの項目が、何日分の売上(売

上原価)に相当するかという日数に換算し

て計算されているという点です。


実は、この日数に換算するという考え方

は、より正確に会社の資金需要を把握する

ことができます。


たとえば、ある会社が100万円の商品を

仕入れて、その仕入た時点で販売されれ

ば、一見、運転資金は不要ということにな

ります。


しかし、販売代金の回収は3か月後である

のに対して、仕入代金の支払いは1か月後

であるとすると、2か月間、100万円の

資金不足になるということになります。


ですから、銀行が運転資金の申し込みを受

けた場合、単に、売掛金棚卸資産の金額

だけでなく、回収期間、滞留期間などを勘

案して、必要な運転資金の計算を行いま

す。


(ただ、回収期間や滞留期間の情報がない

場合や、相談の時点でおおよその情報だけ

で判断する場合は、残高だけで計算するこ

ともあります)


したがって、CCCの考え方は、金融機関

の融資担当者にとっては、真新しい内容で

はなく、融資審査の基本的な知識になって

います。


しかしながら、CCCは、運転資金の効率

化を進めるために、「資材調達から製品の

納品までの期間を短縮する」という手段を

明確にし、かつ、その期間を数値で把握で

きる指標として、これを重視する会社が増

えてきていることは妥当であると思いま

す。


例えば、これまでは売上高だけで、部門や

営業部員を評価しがちでしたが、CCCへ

の貢献度で評価すれば、さらに多面的で公

平感の高い評価をすることができるように

なるでしょう。


さらに、先進的な会社では、CCCを向上

させることを、単に資金の効率化という面

だけでなく、新たな投資に振り向けるため

の資金を産み出す手法として利用していま

す。


ただ、中小企業ではここまでは実施するこ

とは難しいので、CCCを、資金の効率化

を計る指標とするだけでも大きな効果があ

ると思います。


結論は、会社の利益を向上させるには、売

上を増やすだけでなく、事業の速度を高め

ることによって、資金を効率的に活用す

る、という観点も採り入れることをお薦め

したいということです。

 

 

 

 

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