鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

実地棚卸

今回は、実地棚卸について説明します。


ちなみに、「棚卸をする」というときの

「棚卸」はよく使われている言葉ですが、

念のために説明すると、「翌期に繰り越す

棚卸資産の額(=繰越資産原価)の金額を

求めること」です。


そして、その金額の求め方は大きく2つの

方法があり、ひとつは帳簿から計算する

帳簿棚卸です。


しかし、帳簿棚卸は、理論上は前述の繰越

資産原価を求めることはできますが、実際

には、誤って記録されていたり、実際の

棚卸資産が、紛失したり、盗難されたり、

経済的な価値がなくなっていたりする

ことがあり、必ずしも正確に求めることが

できるとは限りません。


そこで、棚卸資産の数量を実際に数えて

繰越資産原価を求める方法を実地棚卸と

いいます。


最近では、単に棚卸というと、この実地

棚卸を指すことも多いようです。


本題に戻ると、小売業や卸売業では、この

実地棚卸は比較的多くの会社が実施して

いるようです。


これは私も意外なのですが、中小企業の

製造業では、実地棚卸を行っている会社は

少ないようです。


もう少し厳密な言い回しをすると、棚卸

資産の管理自体を行っておらず、前期から

繰越された棚卸資産の額から、その期間に

仕入れた材料費を差し引き、その残りを

翌期に繰越す棚卸資産として計算(これは

商的工業簿記などと言われます)している

ようです。


これはこの記事の本論ではないので、

簡単に述べると、不正確な計算の方法

であり、きちんと棚卸資産を測定する

ことが望まれます。


話しを戻すと、実地棚卸から得られる

情報は、経営者にとっても重要な情報

なので、きちんと実施すべきことは、

言及するまでもありません。


ただ、実地棚卸が行われない理由の

ひとつに、事務上の負担が大きく、また、

いったん業務を停止する必要があるという

ものがあります。


これを回避する方法として、循環棚卸と

いう方法があります。


これは、実地棚卸の原則的な実施日で

ある、会計期間の末日ではなく、棚卸

資産をいくつかに分割し、数回に

分けて実地棚卸を行う方法です。


例えば、全社の棚卸資産を場所ごとに

4つに分け、それぞれ3か月ごとに実施

すれば、実地棚卸のために割く事務負担を

分散することができます。


なお、会計期間の末日以外に実地棚卸を

行った棚卸資産については、実施日以降の

資産の出入りを帳簿から把握し、それを

加減して会計期間の末日の棚卸資産の額を

求めます。


最後に、今回の結論は、実地棚卸は必ず

実施しましょうというものです。


その理由は、正確に自社の資産を把握

するという理由だけでなく、実際に棚卸

資産の保管の状況を見ることで、視覚

的に無駄な在庫がないか、もっと効率

的に管理できないかということがわかり

ます。


逆に、無駄な棚卸資産と思われている

ものが、実は利益をもたらすものである

ということを発見するきっかけを得る

ことができるかもしれません。


実地棚卸を単なる会計の手続きのひとつと

とらえず、事業の改善の活動のひとつと

とらえてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

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