鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

意見ではなく事実で判断する

先日、経営コンサルタントの小山昇さんが

ホストを務めるラジオ番組にゲスト出演し

ていた、群馬県太田市に本社のあるプリマ

ベーラの社長、吉川充秀さんが、環境整備

(ここでは、職場の整理整頓)についてお

話しておられました。


(ご参考→ https://bit.ly/2GgZ7hZ


具体的には、「『要らないものは捨てま

しょう』と言っても、なかなか整理が進ま

なかったが、『使っていないものは捨てま

しょう』と指示したら、整理が進んだ」と

いうことです。


これは、捨てるものを「必要かどうか」と

いう基準で判断させると、その基準は個人

の意見によるものなので、捨てる判断を躊

躇してしまうが、「使っているかどうか」

という基準で判断させると、その基準は事

実に基づくものなので、捨てる判断をしや

すくなるというものです。


同様のことは、拙著、「図解でわかる在庫

管理いちばん最初に読む本」でも述べてい

るのですが、「一定期間、動きがない(出

荷・消費されたことがない)商品・製品・

材料(これを滞留在庫といいます)は、処

分すべき」であると、私は考えています。


(ご参考→ http://amzn.to/AseBrq


「一定期間」とは、会社の状況に合わせて

決定すべきことなのですが、まず、何らか

の基準を決めて、過剰な在庫を減らさない

と、かえって在庫の管理費用が増えてしま

い、会社の収益に悪影響をもたらしてしま

います。


ここで大切なことは、吉川さんが述べてい

るように、客観的な基準を作ることです。


例えば、「1年以上販売実績がない在庫は

廃棄する」という客観的な基準があれば、

誰もが同じく判断することができ、かつ、

廃棄作業も迅速になります。


このように、もともと、人は、「判断」す

ることを避けたがる傾向があるので、客観

的な基準を示すことは、事業活動において

効果があると、私は考えています。


一方で、「では、誰が、その客観的な基準

をつくるのか」という疑問を持つ方もいる

と思います。


それは、経営者(または、幹部社員)の役

割です。


もちろん、基準づくりは容易なことではあ

りませんが、だからこそ、それを行う経営

者が能力の問われるところであるとも言え

ます。


例えば、稲盛和夫さんは「値決めは経営」

と言っておられますが、客観的な数値で表

される商品の価格を決めることは、経営者

層で決めなければならないほどの、重要で

難しい判断だということを示しているのだ

と思います。


(ご参考→ https://bit.ly/2vluXZ3


もちろん、事業活動での意思決定は、すべ

て、数字でできるわけではありませんが、

組織的な活動に対して、経営者の意図を反

映させたいと経営者の方が考えていれば、

おのずと、多くの人が分かりやすい、数字

を使った明確な基準の設定が、可能な限り

行われるようになっているでしょう。


むしろ、曖昧な基準しかない、または、基

準そのものがなく、経営者は結果だけを求

めているという会社は、経営者がマネジメ

ントを放棄している会社ではないかと、私

は考えています。




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