鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業計画は画餅か?

富山県高岡市にある鋳物メーカー、能作の

社長、能作克治さんへのインタビュー記事

が、ダイヤモンドオンラインに載っていま

した。


(ご参考→ https://bit.ly/3aKo6s3


記事によれば、同社では、従業員向けの教

育や研修をしていないそうですが、従業員

の方から、「社外でこんな勉強会があるの

ですが、どうしても行きたいんです」とい

う提案があったときは、能作さんは一切反

対せずに、どんどん参加させているそうで

す。


ちなみに、能作さんは2002年に社長に

就任しているそうですが、現在、同社は、

その時と比較して、売上高が10倍、従業

員数が15倍と、大きく成長しているそう

です。


ところで、私のことで恐縮ですが、私が銀

行に勤務していた時は、キャリア形成のた

めに外部研修に参加しようとすると、上司

からは、「それを受講したら、どれだけ会

社に貢献できるのだ」と、実質的には拒絶

の回答をされていました。


そこで、どうしても受講したい研修は、自

分の休暇を使い、自腹で参加費を払って参

加していたりしました。


ところが、私が上司から言われた、「その

研修を受講したら、どれだけ会社に貢献で

きるのだ」という問いですが、後から考え

て見たら、逆に、「受講したら、会社にど

れくらい貢献できるかが計測できる研修」

など、ほとんどないのではないかというこ

とに気づきました。


要は、研修費用が惜しいために、上司が私

に対して方便を使っていただけのことなの

でしょう。


だから、経営者の方が、「従業員に研修を

受講させても、直接的、かつ、迅速な効果

が得られることが期待できない」という理

由でもって研修を受講させることを避けて

いては、従業員は育成できないと言えるの

ではないかと思います。


しかし、これが今回の記事の結論ではあり

ません。


私が気になったことは、能作の従業員の方

たちは、なぜ、「社外でこんな勉強会があ

るのですが、どうしても行きたいんです」

と、社長に提案してくるのかということで

す。


もし、社長が従業員の方に研修を受講させ

たいと考えていたとしても、従業員の方が

研修を受講したいと考えなければ、社長の

思いは意味がありません。


このように述べては失礼ですが、中小企業

では、自ら研修を受けたいと考える従業員

の方は、少数派というのが実情だと思いま

す。


でも、同社ではそのような提案をしてくる

従業員の方がいるという理由は、私は、直

接、同社を取材していないので、想像でし

かないのですが、同社では権限移譲が進ん

でいるからだと思います。


前述の記事では、能作さんは、「日本の9

割の会社は事業計画のようなものを作って

いるが、そのような画餅を従業員に伝えて

も意味がない」と述べておられます。


この文章だけを見ると、能作さんは事業計

画を否定的に考えているように受け止めら

れますが、私は能作さんが否定的に考えて

いるものは、「経営者が作って従業員に押

し付ける事業計画」であって、同社では、

結果として、現場レベルでどのように事業

を進めて行くかを決めているのであり、決

して、成行で事業に臨むべきだと述べてい

るわけではないと思います。


そうでなければ、従業員の方が社外の勉強

会に参加したいと考えるような環境にはな

らないでしょう。


そこで、経営者の方が真に取り組まなけれ

ばならないことは、権限移譲を進めるとい

うことになると思います。


ただ、それは一朝一夕には進まない難しい

取組です。


では、権限移譲を確実に実践するためには

どういうことをすればよいのかというと、

話が飛躍するように思われるかもしれませ

んが、私は、BSCの導入だと考えていま

す。


なぜ、BSCを導入すると権限移譲が進む

のかということについては、別の機会に述

べたいと思います。




※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20200127215452j:plain