鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

在庫管理とマネジメント

[要旨]

適切な在庫管理を遂行するためには、管理手法を学ぶことが基本ですが、それだけでなく、経営戦略に基づいてマネジメントが行われることが、より重要です。


[本文]

前回まで、11回にわたり、拙著、「図解でわかる在庫管理いちばん最初に読む本」の内容から、在庫管理に関する知識について説明して来ました。その11回の内容は、主に、在庫管理に関する知識で、拙著の前半部分の内容です。後半部分は、在庫に関する戦略なので、さらに学習を深めたい方は、ぜひ、拙著をお手元に置いていただければと思います。ところで、今回は、まとめとして、在庫管理とマネジメントについて述べたいと思います。

在庫管理に関する知識は、とても大切ではありますが、それだけでは適切な在庫管理を遂行することはできず、会社のマネジメント機能を支えるツールの役割を担っているものということができます。例えば、会計処理によって在庫量を把握することはできても、適切な在庫量はどれくらいにするかは、経営者の判断や、経営者の決めた経営戦略に基づいて決められることになります。

これを言い換えれば、在庫量を増やすことは、収益機会を増やすと同時に、損失の発生するリスクも高くなるので、両者の折り合いをどうつけるかは、経営者の判断によるということです。したがって、効果のある在庫管理を行うには、在庫管理の手法を知るだけではなく、経営環境に合致した適切な経営戦略に基づいて、意思決定が行われなければなりません。

なお、経営戦略は、会社全体の方針を決める全社戦略、最適な事業方針を決める事業戦略、そして事業戦略を支える活動について方針を決める機能別戦略などに分類できますが、在庫に関する活動の方針を決めている在庫戦略は、機能別戦略に分類されます。話を戻して、もし、このような経営戦略がないまま、在庫管理を行おうとすれば、それを実践する意味はほとんどありません。要は、管理活動は、マネジメントが必須であり、単に、管理手法だけを知っていてもあまり意味はないということです。

ここまで、述べてきたことからもご理解いただけると思いますが、マネジメントなしに、管理活動はできないということです。では、その経営戦略はどのように構築すればよいのかということは、別の機会に述べるとして、事業を成功させるためには、管理手法だけでなく、マネジメントの巧緻も重要であり、むしろ、現在は、マネジメントの重要性が増しつつあると、私は考えています。

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