鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

融資の返済を延滞するとどうなるか

私が銀行に勤務して間もないころ、先輩の

職員から「融資をしている会社が、毎月の

融資の返済を延滞したら、その会社が手形

の不渡りを出したことと同じと考えなけれ

ばならない」と言われました。


私は、これをきいたとき、すぐにはどうい

うことか分かりませんでした。


ただ、現実的には、融資の返済の延滞は、

珍しくはありませんでした。


法律的な説明は割愛しますが、手形の不渡

りを出すと、手形を譲渡した第三者などに

手形が不渡りになったことを知られてしま

うので、その会社の信用は大きく失われて

しまいます。


一方で、銀行の返済を延滞しても、延滞し

ていることを知っているのは自社と銀行だ

けなので、手形の不渡りほど大きなダメー

ジは、現実的にはありません。


そういったこともあってか、手もとのお金

がないときは、安易に融資の返済を遅らせ

る会社も少なくないようです。


しかし、融資の返済を延滞することを、あ

まり安易に考えない方が無難です。


というのは、銀行取引約定書(銀行と融資

取引をするときに交わす、基本契約書)の

第5条に、次のようなことが書いてあるか

らです。


原文のままですと分かりにくいので、噛み

砕いて書くと、融資の返済を延滞した会社

は、銀行が通知を出すことで、直ちに融資

額の全額の返済を求めることができるとい

いうことになっています。


すなわち、融資を延滞した会社は、手形の

不渡りを出した時と同じくらいピンチの状

態にあります。


ただ、銀行にとっても、融資を延滞した会

社に対して機械的に通知を出して融資を全

額返済させることは必ずしも得策ではない

ので、実務上は、まず、電話や手紙で延滞

を解消するよう依頼します。


でも、手紙や電話でお知らせをしても、延

滞を解消しようという意思が見られない場

合は、銀行もその会社との取引を解消しよ

うとすることになるでしょう。


ここで、ひとつ助言をさせていただきたい

のですが、やむなく延滞をせざるを得なく

なるとしても、返済日よりも前もって延滞

しそうだと銀行に伝えておくだけでも、銀

行の印象は変わります。


その場合、銀行も、条件変更や新規融資な

どの対策を講じてくれるでしょう。


最もまずいのは、資金管理をまったく行っ

ておらず、銀行から催促されたら返済すれ

ばよいという姿勢の会社です。


そのような姿勢の会社は、銀行からだけで

なく、取引先などほかの会社からも信用さ

れないでしょう。


話を戻して、融資返済を延滞することは、

その会社にお金に余裕がないという面の表

れでもありますが、資金管理がきちんと行

われていないということでもあり、そのよ

うな管理能力のない会社に対しては、銀行

も融資取引に消極的になってしまいます。


銀行は、融資する会社を信用して融資をし

たわけですから、融資を受けた会社も、そ

の信用に応えるようにすることは、道義的

に大切なことだと思います。

 

 

 

 

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