前回、不渡り処分の猶予について説明しま
したが、ご質問を受けたので、今回は、そ
れについてご回答したいと思います。
ひとつめは、猶予とは直接関係はないので
すが、取引停止処分とはどういうものか、
なぜ、取引停止処分が行われるのかという
ものです。
これは、ひとことで言えば、不渡りを起こ
したことへの制裁です。
もし、不渡りがたくさん起こる状態では、
手形や小切手を受け取った会社は、「これ
も不渡りになるかもしれない」と考えるよ
うになり、手形や小切手を受け取ろうとし
なくなってしまうので、決済手段としての
手形や小切手は使われなくなってしまいま
す。
そこで、信用力のある会社だけが手形や小
切手を発行できるようにするために、6か
月の間に2回の不渡りを出した会社は、銀
行との当座預金(=手形や小切手を決済す
るための口座)の取引を禁止される処分が
行われます。
ちなみに、取引停止処分は、法律によるも
のではなく、手形交換所規則によって規定
されているもので、手形交換所に参加して
いる銀行はそれを守る義務があります。
なお、取引停止処分を受けた会社が、その
手形交換所に参加していない銀行と、当座
預金取引や融資取引をすることは、理論的
には可能ですが、その会社の営業地域の銀
行は、ほぼ、同じ手形交換所に参加してい
るので、実態としては、その会社は、どの
銀行とも当座預金取引や融資取引をできな
いことになります。
また、手形交換所が作成する「不渡報告」
や「取引停止報告」は、手形交換所参加銀
行にだけ通知され、また、手形交換所規則
によって、それらの情報は手形交換所参加
銀行以外にはもらしてはならないものとし
て扱われています。
とはいえ、不渡りが起きたことは、その手
形や小切手の取立をした会社は分かってい
るので、早晩、不渡りの事実はその会社か
ら多くの会社に伝わることになります。
場合によっては、帝国データバンクや、東
京商工リサーチなどの信用調査会社が、そ
の調査会社の顧客に対して、注意喚起をす
るための情報として、不渡りが起きたこと
を知らせることもあります。
したがって、不渡処分や取引停止処分につ
いては、手形交換所に参加していない、日
本政策金融公庫などの政府系金融機関にも
間接的に伝わるので、それらの金融機関か
らも、融資を受けることはできなくなるで
しょう。
この不渡りについては、もう少し説明が必
要なので、続きは、次回に述べたいと思い
ます。
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