鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

動産の担保権

先日、日本経済新聞が「担保権を動産にも

設定、法務省、機械・在庫対象に」という

記事を載せていました。


(ご参考→ https://s.nikkei.com/2lF65Xm


現在も、機械などは、「譲渡担保契約」に

よって担保にする方法はありますが、記事

にもあるように、この契約では「担保に差

し入れた事実が第三者から分からない」と

いうデメリットがあります。


でも、不動産担保(抵当権)のように、担

保権を登記する制度ができれば、この動産

担保に関するデメリットをなくすことがで

きます。


しかし、私は、動産担保の登記ができるよ

うになっても、この制度はあまり利用され

ないと思っています。


なぜなら、動産は担保に向かない資産だか

らです。


もちろん、機械は売却して現金化すること

は可能ですが、中古の機械の価額は購入価

額より大きく劣ります。


そして、多くの機械は、耐用年数が10年

以下であり、かつ、耐用年数に近づくほど

価額が下がります。


さらに、機械が特殊なものであれば、新た

な買い手をみつけにくいということもあり

ます。


このように、動産担保は、融資を回収する

手段としては向いていないのですが、だか

らといって、銀行は、設備投資への融資に

消極的という訳ではありません。


設備がなければ事業を営むことはできない

訳ですから、動産が担保に向かないという

理由で、銀行は機械を購入するための融資

をしないということはありません。


確かに、銀行は新規設備投資のための融資

に100%応じているわけではないと思い

ますが、融資を断る理由として考えらえる

のは、事業そのものに対して疑義があると

いうことであり、機械が担保に向かないと

いうことではないと、私は考えています。


今回、前述の記事にある通り、動産担保を

登記することで、銀行側の担保に関する懸

念は少なくなりますが、私は、そのことだ

けで銀行の姿勢が大きく変わるとは考えに

くいと思います。


なお、記事の中には、在庫を担保にするこ

とについても触れられていますが、在庫は

一般的には1年以内に現金化される資産で

あり、担保とすることの意義があまり高く

ありません。


すなわち、短期間で現金化できる資産は、

それ自体が返済原資であり、担保の目的と

することは本末転倒だと思います。


したがって、在庫に関する担保契約が登記

できるようになることが、銀行の融資の姿

勢を変えることにはならないでしょう。


法務省は、銀行が融資をしやすなるように

したいという意図を持っているのかもしれ

ませんが、これは銀行の融資姿勢を変える

決め手にはならない制度変更だということ

が、今回の記事の結論です。

 

 

 

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