鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

担保の価値

銀行が担保を受け入れるとき、当然のこと

ながら、その担保にどれくらいの価値があ

るかを評価します。


なお、担保にはいろいろなものがあります

が、ここでは、銀行が受け入れる担保の中

で最もオーソドックスな不動産担保に絞っ

て説明します。


不動産の評価の仕方は、不動産鑑定士の方

が評価するような方法を基本に行われます

が、実際の売買のために行うのものではな

いので、やや簡便な方法で行われます。


そして、この担保の評価の基本的な考え方

は、売却したらいくらになるかということ

です。


もう少し細かく書くと、時間をかけずに売

却し、かつ、売却のための費用を差し引い

た残りはいくらになるかということです。


そのような考え方のため、土地の価額は、

実勢価額などの70%程度、建物について

は取得価額から経年劣化した価額を差し引

いた価額の50%程度を、担保としての価

値と判断しているようです。


そこで、例えば、1,000万円の土地を

購入するときの融資額は、土地の価額の全

額ではなく、700万円を上限として融資

をするという方針の銀行が多いようです。


(ただし、住宅ローンについては、事業を

目的とした不動産の購入が目的ではないこ

とから、前述のような方針をとらない銀行

が多いようです)


また、前述の通り、不動産担保は時間をか

けずに売却できることが前提なので、不動

産であっても担保に向かないものもありま

す。


例えば、市街化区域(地方自治体によって

積極的に開発を行う区域として指定されて

いるため、用途の制限が少ない区域)以外

の区域は、売却することが困難であること

から、市街化区域の不動産のみを担保とし

て受け入れている銀行も多いようです。


また、同様に、売却が難しい借地上の建物

も、担保として受け入れないか、または、

受け入れたとしてもかなり低い価値として

しか評価されません。


さらに、よく問題となるのは、未登記物件

といわれるものです。


建物の敷地となっている土地を担保にする

ときは、土地だけを売却することは困難で

あり、土地と建物の両方を処分することが

できるよう、一般的には両者を同時に担保

にします。


しかし、もし、土地の上に登記されていな

い建物があると、その建物について、担保

の登記ができない(≒建物を担保にできな

い)ので、土地だけを担保にしたとして

も、その土地の担保としての価値は極めて

低くなります。


これは、例えば、ある会社の社屋と敷地を

担保とした後に、会社が敷地内に倉庫など

を建て、それを登記しないままにしてしま

うというときに、このような問題が起きま

す。


以上が、担保のおおよその考え方なのです

が、不動産に関する知識が少な経営者の方

の場合、購入価額を単純に不動産の価値と

考えてしまいがちです。


そのような方が経営する会社が、不動産担

保を条件として融資を申し込むとき、自分

が考えている担保不動産の価額と比較し

て、銀行の担保の評価額が低く、希望の額

の融資を受けられず、不満を持ってしまう

場合もあります。


そして、トラブルを避ける観点から、一般

的には、銀行は、担保不動産の評価額を、

融資の相手には伝えません。


このような事例については、ケースバイ

ケースなので、一概に対策を述べることは

難しいですが、銀行は、担保不動産を、す

ぐに売れる価格で評価していると考えてお

くことが、担保を条件とする融資の時に行

き違いを起こさないためのポイントになる

と思います。

 

 

 

 

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