鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

仕事の意味を加える

私がこれまで何度か説明してきた「経営」

や「経営品質」ということばは、抽象的で

あるために、ききなれない人にはなかなか

理解をしてもらうことが難しいので、その

ようなとき、私は、ドラッカーの著書「非

営利組織の経営」に書かれている、クラリ

ネット奏者のお話を使って説明します。


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「指揮者に勧められて、客席から演奏を聴

いたクラリネット奏者がいる。


その時かれは、初めて音楽を聴いた。


その後は上手に吹くことを超えて、音楽を

創造するようになった。


これが成長である。仕事のやり方を変えた

のではない。意味を加えたのだ」


このお話の意味は、多くの方が容易に理解

されると思います。


楽器を演奏することに、「仕事の意味」を

加えることで、クラリネット奏者は、楽器

を上手に奏でるという個人の目的よりも、

音楽を想像するという、より大きな目的の

ために活動するようになり、それは、オー

ケストラとしての成果を高めることになる

だけでなく、クラリネット奏者にとって

も、個人で得られる成果よりも大きなもの

として受け止めることができることになり

ます。


この、「客席で演奏を聴く」ように勧める

こと、すなわち、仕事の意味を加えること

が「経営」(または、経営者の役割)であ

り、「クラリネット奏者(または、オーケ

ストラ)の成長」が経営品質の向上です。


述べるまでもありませんが、オーケストラ

における指揮者の役割は、会社では経営者

が担っています。


したがって、経営者が会社の事業について

「仕事の意味を加える」ことは、とても重

要だということが分かります。


ところが、従業員に対して、実際に、「客

席で演奏を聴く」ことを勧めている経営者

の方は、意外と少ないのではないでしょう

か?


さらに、このような例は少ないと思います

が、従業員の育成のための活動をほとんど

行っていないにもかかわらず、「うちの会

社の従業員は、少しも経営者の立場を理解

しようとしない」という不満を口にする経

営者を見ることもあります。


では、従業員に対して、「客席で演奏を聴

いてもらう」とは、具体的にどのようなこ

とをするのかということについては、詳細

は割愛しますが、しっかりとしたOff-

JTを行うことが基本です。


ただ、これも、一朝一夕に効果が現れない

ことから、初めから実施しない経営者も少

なくないようです。


とはいえ、これも繰り返しになりますが、

経営品質の向上は短期間には実現できない

ことであり、計画的に、長期的な観点で実

施しなければなりません。


そのことが、遠回りのようで、確実、か

つ、最短の、ライバルに差をつける方法で

あると、私は考えています。

 

 

 

 

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