前回は、経営者の大切な役割として、「仕
事の意味を加える」ということをお伝えし
ましたが、もうひとつ、大切な役割に、
ノウハウをたくわえるしくみをつくるとい
ものがあると、私は考えています。
これは、端的に述べれば、PDCAをうま
くまわすしくみをつくるということです。
念のため、PDCAについて説明すると、
計画(Plan)→実行(Do)→評価
(Check)→改善(Action)の
4つの活動を連続して行い、事業をより研
ぎ澄まされたものにしていくことです。
「経営戦略」というと、強力なリーダー
シップをもった社長が、斬新的な戦略を打
ち出し、従業員が一丸となってそれに沿っ
た活動を行い、事業が大成功に終わるとい
うイメージを持つ方もいると思いますが、
実際の経営戦略は、もっと地道な改善活動
の積み重ねを継続することによって成功に
たどりつくものだと私は考えています。
たとえば、ユニクロを運営しているファー
ストリテイリングの柳井社長は、「一勝九
敗」( https://amzn.to/2QGS36e )という
著書に、次のように書いています。
「十回やれば九回は失敗している。
この失敗に蓋をするのではなく、財産とと
らえて次に生かすのである。
自分の姿を見ようとしたら、計画して失敗
するのが一番いい。
これはこう計画していたんだけれども、こ
こが違ったな、ということがはっきりわか
り、次はこういうふうにしようとトライす
る。
このことが成功につながると思う」
まさしく、PDCAなしには成功はしない
ということを述べられておられます。
ところが、これは、これまで私が中小企業
の事業改善をお手伝いしてきて感じること
なのですが、中小企業経営者の方の中に
は、自分の考えた経営戦略は必ず成功する
と考えている、または、大成功しないまで
も、大失敗もしないと考えている方が多い
ようです。
このことが、PDCAの「D」だけ、また
は、「P」と「D」しか実践してしない会
社が多い原因だと思っています。
しかし、柳井さんが述べておられる通り、
勝率が10%ということが分かっていれ
ば、「C」と「A」の大切さもよく理解で
きるでしょう。
むしろ、「C」と「A」をきちんと実践す
ることから経営者は免れることはできず、
失礼な書き方ですが、それができない経営
者は経営者としての能力が低いということ
になると私は考えています。
具体的なPDCAの実践の仕方の説明は割
愛しますが、ISO9001やBSCを導
入すると、より精度の高いPDCAを実践
できるようになります。
そして、これも繰り返しになりますが、精
度の高いPDCAを実践できるかどうかで
業績が左右され、経営者の能力を問われる
ところであるということが、今回の記事の
結論です。
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