鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

仕事の意味

これは、私がこれまで何度も述べているこ

となのですが、「経営」とは何なのかとい

うことを伝えることに苦心しています。


その原因はたくさんあると思うのですが、

大きな要因は、日本では、経営は「もの」

にかかわる活動をイメージする方が多いか

らだと思います。


経営資源は「ひと」「もの」「かね」とい

うことは広く知られており、したがって、

「もの」が経営の対象になっていることに

間違いはありません。


ただ、最も関わりのある対象は「ひと」で

あり、これを言い換えれば「組織」という

ことでもあります。


ちょっと話がそれますが、経営の対象とな

る「組織」は、単に会社の役員・従業員だ

けではなく、顧客、仕入先、株主、銀行な

どの、ステークホルダーも含みます。


話しを戻して、「ひと」は目に見えますが

「ひととの関わり」や「組織」は目に見え

ないことから、経営の対象としてはイメー

ジしにくいのではないかと思います。


ただ、「経営」を「マネジメント」と置き

換えるとイメージしやすいのではないで

しょうか?


「会社(部)をマネジメントする」という

と、マネジメントとはどういうことか思い

浮かびやすいでしょう。


一方で、「製造プロセスをマネジメントす

る」と、マネジメントの対象を「もの」に

すると、決して誤ってはいませんが、やや

違和感があると思います。


ここで、話がそれますが、マネジメント

(Manegement)に関連する言葉

に、Contolや、Administr

ationという言葉がありますので、さ

らにご関心のある方は、この3つの言葉の

意味の違いについて学んでみることをお薦

めします。


話しを戻して、マネジメントの指すものに

ついて、ぼんやりイメージが浮かんだとし

ても、それでも、マネジメントとはどうい

うものかということを説明することは難し

いと思います。


そこで、私は、ドラッカーの2つの寓話を

よく使っています。


これも有名ですが、ひとつは、3人の石工

のお話しです。


「ある建築現場で、何をしているのかを聞

かれた3人の石工のうち、1人目の男は

『これで食べている』と答えた。


2人目は手を休めずに『腕のいい石工の仕

事をしている』と答えた。


3人目は目を輝かせて『国で一番の教会を

建てている』と答えた」


ダイヤモンド社「マネジメント」より)


これは、仕事の意味を考える寓話です。


1人目の男は仕事を生活の糧と見ていま

す。


2人目の男は仕事に誇りを持っているよう

です。


3人目の男は仕事に大きな意味を見つけて

いるようです。
 

この3人のうち、どのような人を雇いたい

かと考えると、多くの方は3人目の男だと

考えるでしょう。


したがって、経営者は、従業員に対して、

仕事の意味を見つけられるように育成する

ということが、その重要な役割だというこ

とです。


もうひとつのお話しは、クラリネット奏者

のお話しです。


「指揮者に勧められて、客席から演奏を聴

いたクラリネット奏者がいる。


その時彼は、初めて音楽を聴いた。


その後は上手に吹くことを超えて、音楽を

創造するようになった。


これが成長である。


仕事のやり方を変えたのではない。


意味を加えたのだ」


ダイヤモンド社「仕事の哲学」より)


これも、石工の話と同じく、仕事の意味の

大切さを伝えるお話しです。


文字数の制約で、詳しくは説明できません

が、クラリネット奏者は自分ひとりの成果

を考えるのではなく、オーケストラ全体の

成果を考えなければならないということを

指揮者によって気づかされています。


会社で言えば、この指揮者の役割を担うの

は、経営者です。


会社の事業でよりよい成果を出すには、仕

事の意味を従業員に伝えることが大切であ

り、このような経営者としての役割の巧緻

が、事業の成果となって現れてきます。


とはいえ、今回の記事について、理解して

おられる経営者の方はたくさんいると思い

ます。


問題なのは、経営者の本来の仕事に軸足を

移すことがなかなかできないでいるという

ことが実情ではないでしょうか?


そういったことで悩んでおられる経営者の

方をお手伝いすることが、「経営」コンサ

ルタントである、私の役割だと自任してい

ます。

 

 

 

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