メールマガジンで先日配信された内容から
引用します。
「『世の中は、根気の前には頭を下げるこ
とを知っています。
火花のあとには一瞬の記憶しか与えてくれ
ません。
だから、牛のよだれのように根気よくやり
なさい』
です。
ほとんどの人が、やればすぐ成果につなが
ることばかりに気をとられているから、心
底からの信頼が得られないのだと思いま
す」
これは、根気強さが大切だということであ
り、「石の上にも三年」という諺もある通
り、普遍的な考え方です。
したがって、根気強さの大切さについては
改めて議論するまでもないことなので、根
気強さは多くの方が大切と考えている一方
で、なぜ、根気強さの大切さが繰り返し叫
ばれるのかということについて考えてみた
いと思います。
鍵山さんはメールマガジンの中で、「やれ
ばすぐ成果につながることばかりに気をと
られて」いてはいけないと述べておられま
す。
では、なぜ、「ほとんどの人が、やればす
ぐ成果につながることばかりに気をとられ
て」しまうのでしょうか?
もちろん、短期間で効果が得られる方が効
果的です。
でも、短期間で効果が得られるという活動
は、裏を返せば、経営者の関与が少ないと
も言えます。
ですから、「短期間で効果が得られる活
動」とは、「経営者があまり関与しなくて
も効果が得られる活動」と言い換えること
ができます。
このように書くと、「経営者が楽しようと
してはいけないと言いたいだけなのか」と
受け止められてしまうかもしれませんが、
そのことよりも、経営者の関与が少なくて
も事業の業績が上がることを目指していた
ら、経営者は自らの存在意義を否定するこ
とになってしまうことが問題だと私は考え
ています。
会社の事業活動の成果が、より高くなるた
めには、その事業活動に経営者の方が積極
的に関わる必要があるということは、誰も
が理解できることでしょう。
ですから、例えば、飲食店経営者の方が、
アットホームなレストランを作りたいと考
えているとすれば、自分の定義するアット
ホームとはどういうことか、それを実現す
すために必要な人材やスキルはどういうも
のが必要か、それらの人材を育成するには
そういう方法をとらなければならないかな
ど、さまざまなことを決め、それを実践し
なければなりません。
すなわち、経営者の思いを実現するには、
一朝一夕にはできないと考えるでしょう。
そうであれば、根気強くなることができる
し、すぐ成果につながることに関心を持た
なくなるでしょう。
ちなみに、大手レストランでは、経験の少
ない人を即戦力として採用していますが、
それを実現するためには、それなりのマ
ニュアル、人材育成プログラム、オペレー
ションノウハウなどがあり、それらは多く
の年月を経て作成されているはずです。
話を戻すと、すぐ成果につながることに関
心を持ってしまう経営者は、意識している
か意識していないかにかかわらず、効率さ
を求めるという大義名分で、自らの経営者
としてのスキルの低さを隠そうとしたり、
経営者として行うべき活動を逃れようとし
ているのではないかと私は考えています。
「世の中は、根気の前には頭を下げる」と
漱石は述べていますが、それは、努力の裏
付けがあるからであり、経営者の方たちが
多くの方から尊敬される存在であるという
のは、陰に陽に常に根気強く努力を重ねて
いるからでしょう。
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