鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

よろこばれれる魔力

島根県大田市にある、義肢メーカーの中村

ブレイスの社長、中村俊郎さんのご著書、

「コンビニのない町の義肢メーカーに届く

感謝の手紙」( http://amzn.to/2EQWnVU )

を拝読しました。


この本では、中村さんあてに顧客から届い

た34通の手紙が紹介されています。


いわゆるサンキューレターは受け取る側に

とってはうれしいものですが、中村さんに

よれば、中村さんは「お客さまによろこば

れることの魔力」にとりつかれているとい

うことを述べておられます。


「今期は売上高が1億円だったから、来期

は2億円にしよう」という数字の目標を達

成するよろこびと比較して、顧客からよろ

こばれることの方が、困難な課題に挑もう

とするときの意欲につながると、中村さん

は述べておられます。


その例として、次のようなエピソードが紹

介されていました。


ある時、たまたま観光で松江を訪れた英国

人の紳士が、もともと予定していなかった

ものの、松江のタクシー運転手の方に中村

ブレイスを紹介されて、同社を訪れたそう

です。


その紳士は中村さんの会社に義足を注文し

たのですが、来週には日本を経つというの

で、従業員の方が自ら判断して、手元にな

い部品を大阪から急きょ取り寄せ、翌日ま

でに義足を仕上げたそうです。


これはたいへんむずかしいことなのだそう

ですが、それを自らの判断してやり遂げる

ことができたのは、前述のようなよろこば

れる魔力によるものなのでしょう。


後日、その紳士から届いた手紙には、同社

の仕事に対する思いや信念に敬服するとい

う内容が書かれていたそうです。


ここまで書いてきたことは、顧客からの感

謝の気持ちは、役員、従業員にとって、士

気の向上につながり、それが業績を上げる

ことにつながるという、一見、単純なこと

のように思えます。


ただ、「顧客の満足→従業員の士気向上→

業績の向上」という好循環をつくること

は、一朝一夕にはできません。


では、どうすれば中村ブレイスのような好

循環をつくることができるのかということ

は、冒頭で紹介した本にはヒントが書かれ

ているものの、そのすべては書かれていま

せん。


それは、私がこれまで何度か述べてきた、

経営習熟度を高めるという方法で可能にな

りますが、それは別の機会に説明したいと

思います。


大切なことは、中村ブレイスのような会社

は例外的な会社であると認識せず、同社の

ような仕組みづくりはどんな会社でも可能

であり、経営者はそれを目指さなければな

らないということを認識することだと思い

ます。


もうひとつ付け加えると、経営者の役割は

業績を上げることではなく、業績を上げる

仕組みをつくることで、その仕組みができ

あがれば、従業員の方が業績を上げてくれ

ます。


中村ブレイスでは、中村さんが、顧客によ

ろこばれる魔力に従業員の方がとりつかれ

る仕組みを作り、よろこまれる魔力にとり

つかれた従業員の方が、他社にまねできな

いよい製品づくりをしているということだ

と私は考えています。

 

 

 

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