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山形市に本店のあるきらやか銀行が、新型コロナ特例によって、180億円の資本注入を受けることになりましたが、同行は、もともと不良債権比率が高いことなどが遠因となっているようです。また、今後、同様の事例はあまり起きなと考えられ、起きたとしても、同行と同様の事情によるものと考えられます。なお、融資を受けている中小企業への影響はほとんどないでしょう。
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9月1日に、金融庁が、山形市に本店のあるきらやか銀行に、180億円の資本注入をすると発表しました。これは、「国の資本参加を通じて金融機関の金融仲介機能を強化する枠組みである金融機能強化法」の、「新型コロナウイルス感染症等に関する特例」を活用したもののようです。
ちなみに、この特例の場合、融資を受けている中小企業への円滑な資金供給を目的としているため、他の公的資金と異なり、資本注入を受ける銀行に対して、収益目標や経営責任については求められず、また、返済期限も設けられていません。しかし、報道機関の報道を見ると、きらやか銀行は、直接的には、「コロナ」の影響を受けているものの、資本注入を受ける理由は、別のところにあるようです。
すなわち、同行の不良債権比率の4.2%は、同行と営業地域が同じ山形銀行の1.2%や、荘内銀行の2.1%と比較して高い上に、2023年2月に民事再生法の適用を申請した、同行の大口取引先への融資等の約23億円が、回収不能になったことが背景にあるようです。したがって、前述の通り、同行が資本注入を受けることになった理由は、もともと、財務基盤が弱かったからと考えることができるでしょう。
そこで、今後、同行と同様に公的資金の申請をする銀行は、まったくないとは言えないものの、同行と同様に、コロナの影響の要因あまり高くない事例になるのではないかと思います。また、銀行から融資を受けている会社として、今後、どう対処すればよいのかといううと、特に、影響はないと思います。強いて言えば、新規融資を断られる確率を減らすために、もし、現在のメインバンクの規模が小さい、利益額が少ない、不良債権比率が高いなどのいずれかが該当する場合は、不良債権比率の低い地域金融機関との関係を強めておくことをお薦めします。
2023/9/15 No.2466