[要旨]
地域銀行の令和2年9月の決算は、貸倒などの増加により悪化しています。今後も、この趨勢は続くと思われることから、中小企業が銀行から受ける支援を維持するためには、銀行への業況の報告をこまめに行うことが大切です。
[本文]
金融庁が、「地域銀行の令和2年9月期決算の概要」を公表しました。この資料の調査対象の銀行は、地方銀行644行、第二地方銀行39行及び埼玉りそな銀行の計104行です。利益額については、4,130億円(前年同期比▲537億円、▲11.5%)となり、これは、与信関係費用の増加、すなわち、貸倒や貸倒引当金の増加が要因のようです。
不良債権額については、5.0兆円で、前年同期比で0.2兆円増加しています。不良債権比率は、1.73%で、前年同期から、0.01%高くなっています。これは、もちろん、地域銀行の融資相手の多くが、コロナ禍の影響を受けていることによるものでしょう。
そして、この資料から読み取るべきポイントのひとつは、今後、この地域銀行の業績の悪化は続くかということですが、私はまだ続くと考えています。その理由のひとつは、現在は、セーフティネット保証などの利用で、資金繰を維持できている会社が、売上などが回復しないままであれば、事業の継続が難しくなり、それが表面化してくるからです。
もうひとつのポイントは、地域銀行の融資姿勢に変化があるかということです。これについては、極端には変わらないと考えています。なぜなら、金融庁が地域銀行に対して、中小企業の支援を呼び掛けているからです。とはいえ、業況が上向く見込みを明確に示すことができない会社に対しては、銀行も支援を行うことは困難と思いますので、現在、銀行から融資を受けている会社は、自社の業況を、こまめに銀行に伝えることが大切です。