鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ダンスフロアとバルコニー

[要旨]

ハーバード・ケネディ・スクールのハイフェッツ教授は、「経営者等は、日々、ダンスフロアで必死に踊っていることが多いが、リーダーとなるためには、時としてバルコニーに立たなくてはならない」、すなわち、事業活動の最前線に立つだけではなく、事業活動を俯瞰できるところに立ち、適切な判断を行うことが必要と指摘しています。これを実践するには、頭で理解するだけでは足らず、日ごろから練習しておくことが必要です。


[本文]

グロービス経営大学院の荒木博行さんのPodcast番組を聴きました。荒木さんは、ハーバード・ケネディ・スクールのハイフェッツ教授のクラスを描いた、「リーダーシップは教えられる」とい著書の中にある、「ダンスフロアとバルコニー」という言葉について紹介しておられました。

教授のいうダンスフロアとは、「(会社経営者が)最前線で何かに熱中して取り組んでいる状態のこと」を指すそうです。そしてバルコニーとは、「ダンスフロアで踊っている人の様子が眺められる高い場所」を指すそうです。さらに、教授は、「我々(会社経営者等)は、日々ダンスフロアで必死に踊っていることが多いですが、リーダーとなるためには時としてバルコニーに立たなくてはならない」と指摘しているそうです。

ここまでのことは、ほとんどの方が容易に理解できることだと思います。ところが、これは頭では理解できても、実践することは、なかなか、難しいということだと思います。だからこそ、ハイフェッツ教授も、ダンスフロアとバルコニーの例えを使って、その重要さを学生に伝えたのでしょう。では、それを実践するためにはどうすればよいのかというと、荒木さんは、サッカーのゲームに例えて説明しています。

すなわち、「サッカーで言えば、『こういう時はこういうポジションを取れ』、『こういう所を狙え』などと、冷静な時にはいくらでも言えるでしょう。しかし、残されたロスタイムのうちに、シュートを決めないといけない場面に遭遇した場合、実際にその通りに動くことは難しい。したがって、常日頃からプレッシャーがかかった練習を重ねて、自分の体がどんな状態でも、俯瞰的な視点を持つことを刷り込ませておくことが肝要」ということです。

ただ、矛盾する内容なのですが、私自身も含めて、多くのビジネスパーソンは、ダンスフロアから、タイムリーにバルコニーに移ることは、なかなか難しいと思っています。それは、人間の生物的な限界があるからです。私は、その限界を補うために、「内部統制」か、それを導入しなくても、ISO-9001といった、マネジメントシステム規格を導入することを目指すとよいと思います。

2023/8/25 No.2445