鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

融資コンサルティングをしないのか?

[要旨]

銀行から安定的な資金調達ができるようになるためには、業績を安定的にすることが欠かせません。一方、融資申請のときに、いわゆる「テクニック」を使い、融資を受けることができたとしても、それは、一時しのぎにすぎず、安定的な事業の発展にはつながりません。


[本文]

私は、銀行出身のコンサルタントなのですが、しばしば、「銀行出身なのに、『融資コンサルティング』とか、『財務コンサルティング』はしないのか?」ときかれることがあります。これに対する私の回答は、「融資コンサルティングをしています」です。というのは、銀行から安定的に融資を受けることができるようになるためには、安定的に利益を計上すればよいのです。そこで、私は、資金調達のご相談を受けたときは、その会社さまに、安定的に利益を得られるようにするための戦術を提案し、実行していただくようにしています。

そして、そのことによって、収益状況が改善していけば、その後、銀行からの資金調達は容易になっていきます。したがって、これが、私から見た、「融資コンサルティング」ということです。これに対して、「それは、『融資コンサルティング』ではなく、『収益改善コンサルティング』ではないか?」という疑問を持つ方もいると思います。確かに、収益状況を改善するためのコンサルティングは、「収益改善コンサルティング」です。

そして、この収益状況を改善するための活動は、顧客からの評価を高めるための活動です。でも、それと同時に、それは銀行からの評価を高めるための活動です。すなわち、収益状況の改善活動は、顧客からの評価を高める活動であると同時に、銀行からの評価を高める活動でもあるわけです。ですから、「融資コンサルティング」と、「収益改善コンサルティング」は同じということです。これを言い換えれば、両者は同じということでもあります。それでもなお、「融資コンサルティングでは、融資申請のノウハウなどを提供することも必要なのではないか?」と考える方も多いと思います。

確かに、そういった面はありますが、それは本質的なものではありません。業績がよい会社であれば、特に細かい説明をしなくても、銀行は競って融資をしてくれます。業績がよくない会社の場合は、確かに、融資申請にあたって、ある程度の工夫が必要になります。でも、それは、融資を申請するときだけのものです。あまり業績のよくない会社が、いわゆる、「テクニック」を使って融資を受けることができたとしても、その後、業績が改善しなければ、次に融資が必要になったとき、再び融資を受けることができる保証はありません。

ですから、ちょっと厳しい言い方になりますが、「融資コンサルティングは融資申請の方法を教えてもらうこと」という、一部分にしか関心のない方は、業績改善への意欲があまりない方なのかもしれません。でも、そういう経営者の経営する会社へは、銀行から見て融資をしたいと思わないのではないでしょうか?そもそも、会社が融資を受ける理由は、事業を発展させるためなのですから、それに尽力しているという姿勢がなければ、融資申請のときだけ労力を注いても、銀行からはそれを見透かされるでしょう。

話を戻して、銀行から安定的な資金調達を行う方法は、会社が安定的な収益を得ることができるようにすること、すなわち、収益改善をすることなので、私から見て、「融資コンサルティング」と「収益改善コンサルティング」は同じことを指します。ちなみに、「収益改善コンサルティング」は、一般的には、「経営コンサルティング」と言われているのかもしれません。

2023/8/26 No.2446