[要旨]
ほとんどの銀行は、融資相手の会社向けにコンサルティングを行う体制があり、中には、積極的に行おうとする銀行も登場しています。しかし、実態としては、事業改善に積極的な中小企業は割合としては低いために、銀行側も、コンサルティングの事業規模を拡大できないでいるようです。
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前回、銀行は、融資相手の会社に対し、コンサルティング機能の発揮を求められているものの、それは、融資を行う立場からの支援活動であり、支援を受ける側は受動的になってしまう場合もあるということを述べました。今回は、また、別の視点から銀行の行うコンサルティングについて述べたいと思います。いま、多くの銀行は、融資相手の会社から望まれれば、純粋なコンサルティングを行っているようです。
さらに、一歩進んで、山形市に本店のあるきらやか銀行は、コンサルティングを行う子会社で、日報コンサルティングを開始しました。(ただし、現在は、新規受付は行っていないそうです)銀行も、金融面以外の中小企業支援は、新たな収益源として、さらに、地域経済の活性化策として、大きな関心を持っていることは確かだと思います。ところが、日本では、コンサルティングを活用しようという会社は、割合としては少ないと、私の経験から感じています。
その原因は、あえて乱暴な述べ方をすると、「景気がよくなりさえすれば、自社の業績は回復する」と考えている経営者の方が多いからだと、私は分析しています。繰り返しになりますが、すべての会社がそうだとは言いませんが、自社の体質改善には消極的で、外部環境の変化を待とうとしている会社が多いのではないかと思っています。しかし、そのような考え方はあまり賢明ではなく、(新型ウィルス感染症による要因をのぞくという前提ですが)景気が悪いと考えられがちな現在でも、業績を伸ばしている会社は、中小企業にも存在します。
また、コンサルティングを利用すれば、必ず業績が改善するとは限りませんが、事業を継続させようとするときは、安易に、融資を受けようとしかしない会社の割合は多いと、私は感じています。もちろん、業績があまりよくない中小企業が存在する原因は、これだけではないということは当然ですが、コンサルティングを受けようとする会社の割合が高くないことは事実だと思います。このようなことから、銀行側としても、コンサルティングに積極的になれない面もあると感じています。
2021/12/4 No.1816