鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

チームは動的でダイナミック

[要旨]

成果の出ないチームでは、チームは一人のリーダーが率いるものと捉えていますが、成果の出るチームは、チームを全員でリードするものとして捉えています。すなわち、成果の出るチームは、動的な経営環境に即して、自らの活動も動的に対応できるようにしており、そのために、定期的な振り返りを行っています。


[本文]

今回も、前回に引き続き、立教大学経営学部の中原淳教授の著書、「チームワーキング-ケースとデータで学ぶ『最強チーム』のつくり方」を読んで、私が気づいたことについて説明したいと思います。前回は、成果の出ないチームは、キックオフミーティングを行うものの、そこで目標を設定することが目的化してしまい、その後はミーティングを開いて目標の振り返りや見直しを行うことはしないので、定期的にミーティングを行うことが必要ということについて説明しました。これに続いて、中原教授は、成果の出るチームは「チームの見立てが」が違うということについて説明しています。

「成果の出ないチームでは、チームメンバーは、『一人のリーダーが率いるもの』であり、『一度定めた目標に向かってまっすぐ進んでいくもの』と見立てているという特徴があります。(中略)この考え方に従えば、最も大事になるのが、『初期のアクション』ということになります。(中略)成果の出るチームでは、チームメンバーは、『チーム』=『全員でリードするもの』であり、チームを『常に想定外の変化をする、動的でダイナミックなもの』と見立てていました。

動き続けるチームを、目標に向かって前に進めるために、『チーム全員が、チームの状況を俯瞰するチーム視点を持ち、チーム視点で目標を見つめ、相互にフィードバックし合うこと』をチームワークだと捉えています。こうした、ダイナミックな考え方では、『期中にもアクションし続けること』が最も重要視されます。期初に設定した目標と現状にズレはないか、当初設定した課題を見直す必要はないか、お互いに役割を遂行できているかなどを、チーム視点で定期的に振り返り、適宜、チームの行動を補完し合うことで、目標達成に近づけて行こうとするのです。(63ページ)

今回の中原教授のご指摘は、前回のご指摘をさらに深掘りするようなものだと思います。したがって、改めて説明するまでもないのですが、成果が出るチームは「全員でリードする」、すなわち、メンバー全員がリーダーシップを発揮するという捉え方は、正に、組織的な活動が成果につながるということだと思います。このことは、どういう商品を販売したり、または、どういう製品を製造したりするのか、すなわち、何をするのかというよりも、どれだけ組織的な活動をするのかの方が、成功の要因の大きな部分を占めているということだと思います。

このことは、現在は、同じ業種でも業績に差が現れるようになっていることからも裏付けられていると思います。したがって、業績を高めたいと考えている経営者の方は、どういう事業を自社の事業にするのかを探究することよりも、チームワークが高い組織をつくることに注力しなければならなくなっていると言えるでしょう。

2023/5/4 No.2332