[要旨]
原晋さんは、かつて、会社勤務時の上司が、目標を紙に書き出すことで、会社と個人の活動内容を明確にし、社員のモチベーションを高めていた例を、青学陸上部にも応用して活用しています。活動内容が明確になることで、さらに、効率的な活動ができるようになり、成果を向上させることができるようになります。
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青山学院大学陸上競技部監督の原晋さんのご著書、「フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉」を拝読しました。原さんは、同書で、目標管理の重要性について述べておられます。「目標を管理するうえで大切なことは、設定した目標を紙に書き出すことです。書き出すことで目標に対する意識が高くなり、行動につながるようになるからです。
この方法を学んだのは、ハウスプラス中国住宅保証という会社で、営業マンをしていた頃でした。初代社長の吉屋文雄さんは、A4の紙に目標を大きく書いて貼り出し、社員全員のモチベーションを高めていました。『目標は1年後、中国地方で業界トップ、3年後、単年度黒字、5年後、累積赤字解消』と、まず中長期の目標を示した後に、月間の目標を書き出します。『〇月目標、戸建て住宅〇棟、マンション〇棟、アパート〇棟…』
それだけではなく、訪問件数〇件、消費者向けセミナー〇回開催と、具体的な行動計画まで落とし込んでいました。大きな目標を達成するための組織としての数字と個人としての数字を示し、さらに、その数字をクリアするてまにやるべきことを細かく書き出す。実際、青学陸上競技部では『目標管理シート』を、部員がそれぞれつくっています。それを貼り出し共有することで、メンバー全員の頭に目標が刷り込まれ、実現につながっていくのです」(114ページ)
原さんのかつての上司の吉屋さんの事例は、多くの会社に、そのままあてはまると思います。さらに、会社だけでなく、原さんは、青学陸上部にも、それを用いています。私も、事業計画は大切だと考えていますが、その理由のひとつは、活動内容が明確になるからです。そして、もうひとつは、その活動が、目標を達成するための必要なものとなっていることも明確になることです。
このように、事業計画を立てることは、事前に事業活動をシミュレーションするようなことであり、このようなシミュレーションをした上で活動をすることで、無駄な活動を減らすことができます。また、計画が達成できなかったときも、計画と実績の相違点を分析することで、改善点を見つけることが容易になります。事実、事業計画のある会社とない会社では、業績に大きな開きがありますが、業績を伸ばすには、何か大掛かりなことをする前に、地味な活動に思われるかもしれませんが、事業計画を立てることで、改善の効果を得ることができるでしょう。
2022/8/3 No.2058