[要旨]
米国では、ラーメンが2,000円以上で販売されていますが、その要因には、DXの活用が挙げられます。DXによって、顧客満足度を向上させたり、トッピングや追加注文の機会を増やすことが可能になっています。このように、価値創造は、商品そのものよりも、販売方法の重要性が高まっていると考えることができます。
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流通コンサルタントの後藤文俊さんの、日経ビジネスへの寄稿を読みました。後藤さんによれば、米国ニューヨークではラーメンは2,000円が当たり前で、さらに、単価を高めるためにDXが活用されているそうです。もちろん、これは、ラーメン以外のファストフードでも行われているそうですが、DXを導入する効果には次のようなものがあるそうです。
(1)モバイルオーダーにより、レジ待ちの行列を減らしたり、オーダーの聞き間違いを減らしたりすることができる上に、従業員は本来の調理や接客の業務に集中できるので、顧客満足度が向上する。(2)モバイルオーダーを導入すると、顧客にゆっくり時間をかけて料理を選んでもらえるので、トッピングの注文も増え、客単価が向上する。(3)さらに、メインの料理を注文したあと、デザートなどのメニューも追加注文してもらいやすくなる。
(4)店側から、「特別メニュー」という形で、あまり知られていないメニューで利益率が高いものを提案することができる。(5)同様に、「+50円でポテトのサイズをLサイズに変更できます」というような、アップセルの提案ができる。(6)従来のポイントカードを、モバイルアプリの機能に加えることで、顧客や店にとっても、管理が容易になる。
以上のような、DXの活用による顧客と店の関係強化を図ることで、顧客単価を高めているそうです。しかしながら、私は、DXが万能とは考えていませんし、また、DXのデメリットもあると思います。ただ、商品の価値を高める方法は、DXが普及している時代にあっては、商品そのものよりも、販売方法の方に重要性があると考えています。そういう観点からは、DXによる顧客価値を高めることに注力することは大切だと思います。
2022/2/16 No.1890