鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

コーポレートトランスフォーメーション

[要旨]

最近は、DXを実践する会社が増加していますが、DXの効果を十分に発揮し、競争力を高めるには、会社自身がITリテラシーを高めるといった、コーポレートトランスフォーメーションを行うことが前提となります。


[本文]

クラウドサービスを提供しているIT企業の、ボックスジャパンの社長、古市克典さんへのインタビュー記事が、ダイヤモンドオンラインに掲載されていました。「イノベーションを生む組織へ企業が生まれ変わるために、古市氏が提唱するのは、『DX(デジタルトランスフォーメーション)の前の『コーポレートトランスフォーメーション』だ。

コーポレートトランスフォーメーションとは、まず、(1)『ITへの理解』、次に(2)『T部門の強化』、最後に(3)『全社員によるITの活用、社外人材の活用』という3ステップだという。これを行うことにより、ツールの導入が進み、また、社内のITをSI事業者任せにせず内製化することで、自社の業務に合ったITの活用が可能となる」すなわち、情報技術を活用するには、それを活用する会社が、情報技術を活用できるためのリテラシーを高めなければならないということです。

端的に述べれば、情報技術を活用できるかどうかが競争力に直結しているということでしょう。とはいえ、日本のすべての会社が、直ちにコーポレートトランスフォーメーションを実践しなければならないということではありませんが、リモートワークの普及、人材不足への対応ということを考えれば、今後、情報技術の活用を、これまでよりも強力に進めなければならないということは確かでしょう。

そして、留意すべき点として、これまでの事業に、どのように情報技術を活用するかという視点、すなわち単なる合理化、省力化という視点で情報化武装をしても、あまり競争力は高まらないということがあげられると思います。古市さんもご指摘しておられるとおり、最新の情報技術を活用して、従来の自社の事業をどのように発展させることができるのかという視点で情報化を進めなければ、競争力もあまり高めることができません。

例えば、東京都文京区にある、和風カフェの廚菓子くろぎでは、1日に200人が来店することから、混雑緩和のために、LINEミニアプリの順番待ち機能を活用し始めまたそうです。その結果、機会損失を3割削減し、同時に顧客満足度を向上させています。このような活用法は、コーポレートトランスフォーメーションを経なければ実践できなかったでしょう。

2021/12/12 No.1824

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