今回は、前回説明したBSCについて、そ
の優れた点について説明していきます。
BSCの最大の特徴は、財務の視点と、非
財務の3つの視点(顧客の視点・業務プロ
セスの視点・学習と成長の視点)で、会社
を多面的に評価することであり、これは、
同時に、BSCの優れている点でもありま
す。
(1)財務の視点:会計的な基準で評価を
行う視点で、主に株主への期待に応えるた
めにどのような活動をするかということが
目的です。
具体的な例としては、利益率、成長率、
キャッシュ・フローの多さなどを、どのよ
うな活動によって高めるかということを、
この視点で検討します。
なお、財務の視点は、株主だけでなく、銀
行、顧客、従業員などからの評価を高める
ことにもつながる、重要なものです。
(2)顧客の視点:顧客は、事業を進める
にあたって、株主と同様に重要な利害関係
者です。
その顧客の視点からの評価を高めるたには
どのような活動を行うかを、この視点から
検討します。
客1人あたりの販売額、リピート率などを
どのように高めるかということを、この視
点で検討します。
(3)業務プロセスの視点:株主や顧客を
満足させるために、事業においてどのよう
なプロセスをとるべきかを検討する視点で
す。
具体的には、バリュー・チェーンの見直し
によるコスト・カット、納品期間の短縮、
不良品発生率の低下や、新製品開発の頻度
の向上、顧客へのアフターサービスの向上
のために、どのような活動を行うかを検討
します。
なお、この視点での活動を実践するときに
は、原材料・部品・商品などの納品先へも
協力を求めることになります。
(4)学習と成長の視点:業績向上のため
に必要な業務プロセスが明確になると、そ
れを遂行できるようにするための、人材や
能力を明確にする必要があります。
学習と成長の視点では、そのような人材や
能力を確保するために、どのような活動を
行うかを検討する視点です。
具体的には、優秀な人材を確保するための
活動、採用した人材の能力を高めるための
活動、事業活動によって得られたノウハウ
を上手に蓄積し活用するための活動を検討
します。
以上からも分かる通り、この視点での活動
は、従業員とのかかわりが深ものとなって
います。
また、これらの4つの視点は、それぞれが
個別に検討されるものでなく、「財務の視
点」←「顧客の視点」←「業務プロセスの
視点」←「学習と成長の視点」と、有機的
に関係していることも特徴です。
文字数の兼ね合いから、今回の説明はここ
までとし、次回は、この4つの視点の関係
について説明します。
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