鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

情報化武装だけでは競争力は高まらない

[要旨]

情報化武装すれば競争力が高くなると考えている経営者の方が多いようですが、それは、逆で、どういう戦略をとるかが先にあり、そのために、情報化武装をすると考え方をを持たなければ、いくら情報化武装をしたとしても、会社の競争力は高くなりません。


[本文]

事業者向けシステム導入支援をしている、ジョイゾーの社長、四宮靖隆さんのご著書、「御社にそのシステムは不要です」を拝読しました。現在は、人口知能、RPA、IoT、ERP、DXなど、中小企業でも導入できる時代なので、中小企業が競争力を高めるには、情報化武装は避けて通ることはできません。これは、多くの経営者の方が認識していると思いますが、それでも情報化武装が進まない理由は、四宮さんもご指摘しているように、「情報化武装は、目的ではなく、手段である」ということを、あまり認識できていないからだと思います。

すなわち、情報化武装すれば競争力が高くなると考えている経営者の方が多いようですが、それは、逆で、どういう戦略をとるかが先にあり、そのために、情報化武装をすると考え方を持たなければ、いくら情報化武装をしたとしても、会社の競争力は高くなりません。これが、目的と手段の取り違えであり、多くの方は理解されると思いますが、前述のように、意外と起こりがちと、私は感じています。では、なぜ、目的と手段を取り違えるのかという原因についてですが、私は、中小企業では、あまり、戦略立案に慣れていないからではないかと思います。

同様のことは、情報化武装以外にも見られます。例えば、人材育成も、自らは育成せず、外部からスキルのある従業員を採り入れようとしかしなかったり、資金調達も、銀行からの借入だけに頼り、自ら利益を獲得することが後回しになったりします。このように書くと、私が、中小企業に対して、厳しいことを書いているように受け止められてしまうと思います。でも、どんな会社でも、経営資源は限定的であり、すべてにおいて優れているというわけにはいかないことも、私は理解しています。したがって、中小企業の能力が低いということではなく、経営者の方が向いている方向(どこに注力するかという方針)がポイントになっていると、私は考えています。

これについては、四宮さんも、「IT化による業務改善は、社長の仕事であり、担当者の仕事でもあり、そして究極的には社員全員参加でやることだと言える」(94ページ)と述べておられます。前述のように、業務改善は、情報化武装すればできるのではなく、経営者や従業員の方が当事者となって行うもので、その手段として情報化武装をするわけです。したがって、経営者、従業員の役割は、事業活動よりも、改善活動に軸足がなければならないと言えるでしょう。それを意識することができていれば、目的と手段の取り違えが起きることは避けることができるでしょう。さらに、そのような会社は、情報化武装だけでなく、他の課題にも果敢に取り組み、競争力の高い会社になることができると、私は考えています。

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