[要旨]
ワークマンでは、表計算ソフトのExcelで需要予測を行っていることからわかるとおり、情報化武装は、必ずしも、専用のソフトを導入するなど、大掛かりなものでなければ効果が得られないということではないので、中小企業でも、積極的に、情報化武装に取り組むことで、収益機会を増やすことが期待できます。
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日経クロストレンド記者の、酒井大輔さんの著書、「ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか」を読みました。同書には、ワークマンの販売戦術が詳細に書かれていますが、私がちょっと驚いたのは、同社では、表計算ソフトのExcelを使って需要予測をしているということです。同社がExcelを使っている理由は、人工知能での需要予測も可能であるものの、人工知能を使ったソフトを使うと、従業員は、人工知能が予測した結果だけが分かることになるので、予測の過程も従業員が把握できるよう、あえてExcelを使うようにしているそうです。
私も、中小企業の改善の支援を行ってきた経験から感じることは、ワークマンに限らず、中小企業のデータ活用に関しては、大抵のことは、専用のソフトを使わずに、Excelでも十分に対応できるということです。したがって、私が中小企業のご支援をするときは、Excelを使って省力化できそうなものが見つかると、私が、すぐにExcelの表を作成し、省力化してもらうようにしています。ただ、問題なのは、表計算ソフトを使った省力化は、中小企業では、実態として難しいということです。その最大の要因は、リテラシーを持った人材を採用したり、育成したりすることが難しいということです。
そこで、ローコストで省力化をしたいと考えている経営者の方は、商工会議所などを通して、情報化武装の専門家に相談をすることで、大きな改善を期待することができます。その後、改善を続けたい場合は、引き続き専門家に依頼するか、専門家に情報リテラシーを持った人材を、社内に育成してもらうなどの対応をとるとよいでしょう。いずれにしても、ワークマンでさえ、Excelを活用し、大きな改善効果を得ていることからもわかる通り、情報化武装は、必ずしも大掛かりなものだけではないことから、もっと、積極的に取り組んでもらいたいと思っています。