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融資申請を省力化できるシステムが注目を浴びているようです。しかし、そのシステムは、融資申請の手続きの省力化に大きな効果があるもので、融資の承認が得られやすくなったり、経営者に代わって事業計画書を考えてくれるというものではないことに注意が必要です。
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日経ビジネスに、ダイナブという会社に関する記事がありました。記事によれば、同社は、中小企業の融資申請を支援するシステムなどを開発したそうです。「(同社のシステムのユーザーは)勘定項目に数字を打ち込むだけで、事業計画書、収支計画書など金融機関への融資申し込み関連書類を簡単に作成できる。
一方、金融機関側は、チャット機能などを活用して起業家と接触。事業計画書などを閲覧しながらやり取りして、適正に融資審査を進める。ネットを活用することで、電話や郵送、書類の持ち込みといった経営者、金融機関双方の負担を大幅に減らすことができる」このように、融資を申し込む側と申込を受ける側の、両者の「手続き上の負担」は、大幅に減らすことができます。銀行側にとっても、便利なシステムだと思います。
しかし、同社のシステムは、申請手続きを省力化するものであり、融資審査の承認が得やすくなるというものではありません。システムを利用して事業計画書や収支計画書を作成できるようですが、それらを考えるのは経営者であり、システムが考えてくれるわけではありません。だからといって、私はそのシステムを評価しないわけではありませんが、銀行との交渉を代わりに行ってくれるロボットではないということに注意が必要です。