[要旨]
来年創設されるデジタル庁の役割は、国の機関や国民の「情報化武装」が主な役割になると思いますが、それに対して、変化を嫌う人たちの抵抗が予想されます。これに対するこれからの政府の活動は、自社の情報化武装をなかなか進めることができない中小企業にも、大いに参考になると思われます。
[本文]
菅総理大臣が、就任後に、デジタル庁を創設するとの方針を打ち出しました。私は、菅総理大臣の着眼点はすばらしいと思います。このデジタル庁を創設することは、一般の会社に例えると、情報化武装をすることと言えるでしょう。ところが、国の機関と一般の会社に共通していることですが、情報化武装を進めることに対しては、必ず抵抗があります。
情報化武装が抵抗される理由は、従来と仕事のやり方が変わること、それによって新たなスキルを習得する必要があったり、今まで必要であったものが不要になったりすること、情報が一元管理されることによるリスクへの懸念が生じることなどです。確かに、情報化武装は、すべての面において優れているというわけではありません。
最近も、NTTドコモの電子マネー決済サービスの、「ドコモ口座」などを悪用した預金の不正引き出しがありました。しかしながら、情報化武装によるメリットの方が、はるかに大きいだけでなく、もう、情報化武装をしない会社は、競争自体ができなくなります。
これは、デジタル庁と国民の関係も同様だと思います。例えば、国民ひとりあたり10万円が給付された、特別定額給付金は、もし、国民全員がマイナンバーカードを持っていたとしたら、地方自治体は、迅速、かつ、少ない労力で給付できたでしょう。でも、マイナンバーカードは、なかなか普及しません。
もちろん、マイナンバーカードだけを普及させることが、デジタル庁の役割ではありませんが、「変わることは嫌」という国民を、どうやって変えていくのかが、大きなポイントになるでしょう。このような、政府の動きは、会社の情報化をなかなか実践できない中小企業経営者の方たちにも、大いに参考になると、私は考えています。