鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

「仏作って魂入れず」にならないために

[要旨]

経営者の方の中には、顧客管理システムを導入しても、十分な活用ができないという場合も少なくありません。したがって、単に、導入するだけでなく、十分な活用ができるようにするためにも、可能な限り、専門家の方の支援や助言を受けるようにすることが大切です。


[本文]

経営コンサルタント板坂裕次郎さんのブログに、顧客管理について書かれていました。すなわち、板坂さんの顧問先の方と、顧客管理について話をすると、「自社は顧客管理をしている」と言いながら、現時点でも実際に取引のある顧客が何人いるか、顧客ごとの購買履歴を把握できるか、売れ筋商品を把握できるかなどを聴いても、答えられる顧問先はいないというものです。

すなわち、「顧客管理ソフト」を、「住所録」としてでしか使っていないというものです。私も、板坂さんと似たような経験があります。例えば、ご支援の依頼があった経営者の方に、「貴社は、経営理念を策定していますか?」と尋ねると、「策定している」と答えるものの、実際には、経営理念は社長室にだけ掲げられていて、社内に把握している人はほとんどいないということもあります。

また、「月次決算を行っていますか?」という問いにも、「行っている」と回答しても、実際には、数か月後になって月次試算表ができあがり、しかも、社長はその中身を見ることはないという場合が少なくありません。そのような状態は、「仏作って魂入れず」ということであり、形式的なことしかせずに、実態がともなっていないということです。このようなことで問題なのは、きちんとしたことができていないというよりも、経営者自身は、それらを実践していると認識していながら、実際には実効性がないということです。

場合によっては、「当社は、月次試算表を作っているが、それは何の役にも立っていない」と、誤った認識をしてしまうことです。かといって、経営者の方もオールマイティではなく、全方位に精通するということも難しいことも事実です。したがって、特に中小企業経営者の方は、専門家の助言や支援などを、可能な限り受けるようにすることが大切だと、私は考えています。

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