鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

リスクのないビジネスはない

[要旨]

ビジネスにはリスクがともないますが、中小企業経営者の方の中には、自社のビジネスにはリスクがないと考え、リスクへの備えをしない方も少なくありません。そこで、ビジネスにはリスクがあるから儲けることができると考え、事業活動を行うにあたっては、きちんとリスクへの対応を行うことが大切です。


[本文]

今回も、前回に引き続き、山田修さんらのご著書、「プロフェッショナルリーダーの教科書」を読んで、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。同書の執筆陣の1人である、経営コンサルタントの福田秀人さんは、かつて、生活関連消費財を扱う中堅商社のA社の経営に携わっておられましたが、本の中で、同社社長のことばをご紹介しておられます。

「(1)商売は、厳しくつらいものであある、楽して儲かる話にのれば、以後、楽して儲けることばかり考えてしまい、まともな商売ができなくなり、会社をつぶす。(2)リスクをとらなければ、イニシアティブをとれない、ビジネスでイニシアティブがとれないことほど、危険なことはない。(3)リスクのないビジネスはない、リスクがないのは、リスクに気づいていないだけ、リスクをはっきりさせて、リスクにチャレンジせよ」

この社長のことばを理解する方もたくさんいると思うのですが、私が、これまで、中小企業の事業改善のお手伝いをしてきた経験から、このことばを理解していない方も少なくないと思っています。というのは、「リスクは避けることが可能である、だから、リスクを避けて事業活動を行なえばよい」という考え方をしている方もいるということです。私は、これは、前提が誤っていると思っています。

例えば、「自社の事業はリスクはない」と思っている経営者の方は、月次試算表で、月ごとの収支状況を確認しません。そして、できあがった決算書を見て、初めて自社の収支状況が黒字なのか、赤字なのかを把握します。でも、事業にリスクがあると考えている経営者の方は、月次で自社の収支状況を把握し、赤字であったり、黒字であっても計画が達成できていなかったりしたときは、すぐに何らかの対策を講じます。また、改善が不可能と判断すれば、赤字額が少ないうちに撤退できます。

このようなきめ細かい事業管理をする経営者の方は、ビジネスにリスクがある、そして、リスクにうまく対処すれことが利益を得ることであると考えているからだと思います。すなわち、「ビジネスを成功させること=リスクにうまく対処できること」だと、私も考えています。繰り返しになりますが、経営者の方が、リスクは避けられるのだから、リスクのない事業を選んで成行で事業を行っていればよいと考えてると、利益は得られなくなるのではないでしょうか?

2022/7/6 No.2030