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現在、多くの自動車メーカーは、十分な半導体の供給を受けられず、減産をすることになりましたが、このように、ボトルネックになっている部門が産業のイニシアティブを握っています。逆に見れば、自社の事業のボトルネックを発見し、それをなくすことで、業績が改善することになります。
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先日、「半導体不足で自動車メーカーが減産する」という報道を見ました。現在は、携帯電話端末、パソコン、ゲーム機などのメーカーと、自動車メーカーが、部品の取り合いをしている時代になっているということに驚かされます。その結果、半導体の供給がボトルネックになっており、自動車メーカーの生産能力がどれだけ大きくても、半導体の供給がなければ、その能力は無意味になっているというわけです。それと同時に、多く産業のイニシアティブは、半導体メーカーが握っているということが分かります。だからこそ、サプライチェーン全体での管理が大切になってきているということを、改めて理解できます。
ところで、このボトルネックは、他の産業にも見られます。いまは、コロナ禍で別の課題に直面していますが、飲食店や小売店は、慢性的な人手不足に悩んできています。現在、販売している商品が、顧客から評価を受けているお店では、営業時間をのばしたり、店舗を増やしたりすれば、売上も増えると見込まれるのですが、新たな従業員を確保できないために、それを断念しているという話はよく聞きます。
これは、従業員数がボトルネックになっているということなのですが、どういうわけか、これを自社で解決しようとする経営者の方は、あまり多くないようです。多くの経営者の方は、事業活動というと、生産活動や販売活動が本来の活動と考えてしまっていることが、その原因なのかもしれません。でも、真の課題を解決しようとするのであれば、現在は、従業員の方の定着率向上に取り組むことが最も大切ということを理解できるでしょう。これはひとつの例ですが、「ボトルネックを取り払う」という観点から、自社の事業の課題を分析すれば、新たな気づきを得ることができるかもしれません。