鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

顧客第一をさらに深めるには

[要旨]

顧客第一と考える経営者の方は多いようですが、顧客の声を集めて、従業員にフィードバックするという仕組みを作っている会社は少ないようです。そのような仕組みがなければ、単なるかけ声だけになってしまうので、具体的な仕組みを作り継続することが必須と言えます。


[本文]

経営コンサルタントの板坂裕次郎さんが、板坂さんのブログに、顧客の意見を活用している、運送会社について書いておられました。すなわち、その運送会社では、ドライバーさんが、顧客から聞いてきたたことを、社内に掲示したり、ミーティングを開いたりして、他のドライバーさんたちにフィードバックしているそうです。その際には、ドライバーさんが感動してもらえたときは、どこに感動してもらえたのか、クレームを受けたときは、どこにクレームの根源があるのかということを伝えているそうです。

板坂さんによれば、会社で上司にほめられるよりも、顧客にほめられる方がうれしいので、ドライバーさんたちは、これらのフィードバックに刺激を受けて、顧客を意識して仕事をするようになるということです。私は、「当社の方針は顧客第一」と、経営者が口にしている会社は多いものの、かけ声倒れになっていたり、単に、従業員が、顧客のいいなりに動いているだけだったりする会社が多いと思います。そこで、前述の運送会社のようなことをすればよいのですが、それって、実際にやってみても、経営者が長続きしないことが多いのだと思います。

これは私の経験ですが、私が銀行勤務時代に、渉外係をしていたとき、その支店の支店長から、「顧客を訪問したとき、何かよい情報を聞いたり、顧客から相談を受けりしたら、ノートに書いて提出するように」と言われたことがありました。でも、そういうことをさせる支店長に限って、現場から情報を集めているというポーズをとることが、本当の目的になっています。案の定、情報ノートを支店長に回しても、それに対して、返答の指示を出したり、何らかのアクションを起こしたりするということはありませんでした。

さらに、銀行にネガティブな情報を書いたときは、怒り出してしまったことがあり、それ以来、渉外係は、あたりさわりのない情報しか書かなくなりました。本当は、ネガティブな情報こそ価値があると思うのですが、器量が小さい管理者は、きちんと対処できません。そんな中、結局、情報ノートは無意味なものとなり、渉外係の負担が増えただけに終わりました。中小企業経営者の方には、その支店長のような方は少ないと思いますが、顧客第一を実践するのは、やさしいように見えて、実際にはやさしくないようです。でも、それができれば、ライバルに勝てる会社になれると思います。

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